溶接ヒューム法改正の補助金とは?申請の流れ・注意点もご紹介

溶接ヒューム法改正対策に活用できる補助金があるのはご存知でしょうか?この記事では活用できる補助金の特長、さらにスムーズに申請するための手順や注意点をご紹介します。

できるだけ費用を抑えたいという方にぴったりの内容となっておりますのでぜひ最後までお読みください。

溶接ヒューム法改正で使える補助金とは?

溶接ヒュームから作業者を守れるよう適切な対策を講じるには、まず作業場にどれくらいのヒュームが蔓延しているかを知ることが大切です。

そのため作業場の溶接ヒュームの濃度を測定しやすくなるよう「有害物ばく露防止対策補助金」という補助金が用意されています。

溶接ヒュームの濃度測定の費用負担が軽く!『有害物ばく露防止対策補助金』

有害物ばく露防止対策補助金とは、溶接ヒュームの濃度測定を外部機関に依頼する際の費用の一部を、国が負担してくれるものです。

【補助金額】いくら補助してもらえるか?

金額は、調査人数1人につき2万円、1作業場につき最大4万円の補助が受けられます。

補助金の概要早わかり表
厚生省「有害物ばく露防止対策補助金のご案内」より抜粋

補助率が1/2と定められているので、仮に測定費用が1人あたり4万円かかるとしたらその半分の2万円の補助が受けられます。

ただし、補助金額には上限が設けられているので、どれだけ測定費用が膨らんでも1人あたりの補助金は2万円まで。作業場単位でも4万円までの補助となっています。

また、かかった費用が上限額以下の場合は、かかった費用の1/2の金額が補助されます。

【対象経費】どんな費用を補助してもらえるか?

以下の3つの経費が補助の対象となります(出典:厚生省の文書「有害物ばく露防止対策補助金のご案内」)。

  1. 金属アーク溶接等作業中の労働者に試料採取機器(サンプラー及びポンプ)を装着させ、溶接ヒュームばく露量を測定する経費(デザイン及びサンプリングに要する経費)
  2. 採取された試料を吸光光度分析法、原子吸光分析又はこれと同等以上の性能を有する分析法による分析に要する経費
  3. 作業環境測定士の出張に要する経費

濃度の測定はもちろん、マンガン濃度分析や鑑定士の出張にかかる費用など補助対象幅広く、事業者にとっては使い勝手の良い補助金となっています。 

【対象事業者】どんな事業者が補助を受けられるか?

製造業をはじめ幅広い業種が対象となりますが、中小企業の支援を目的としている補助金なので、雇用人数や資本金など細かな制限が設けられています。

濃度測定を業者に依頼する前に、自社が補助対象となるか事前にチェックするようにしましょう。

補助を受けることができる事業者一覧表
厚生省「有害物ばく露防止対策補助金のご案内」より抜粋

有害物ばく露防止対策補助金の申請の流れ(6ステップ)

溶接ヒューム濃度測定の費用負担を軽くできる有害物ばく露防止対策補助金ですが、補助を受けるには定められた手順に沿って申請を行う必要があります。

厚生省の厚生省「有害物ばく露防止対策補助金のご案内」より、正式な手順を抜粋し以下にわかりやすくまとめましたのでご確認ください。

有害物ばく露防止対策補助金の手続きの流れ
有害物ばく露防止対策補助金の手続きの流れ

1)作業環境測定費用の見積りを取る

溶接ヒューム(マンガン)の測定ができる作業環境測定機関に相談の上、測定費用をの見積もりを作成する。

溶接ヒューム(マンガン)の測定ができる作業環境測定機関とは?

溶接ヒューム(マンガン)の測定ができる作業環境測定機関とは、金属を扱う作業場の測定知識を有した「4号登録」の測定士がいる機関のことを指します。

測定士は、資格によって測定できる作業場が異なり、一号は鉱物性粉じん、二号は放射性物質、三号は特定化学物質、四号は金属類、五号は有機溶剤の測定する知識を有すると認められています。

(参考:公益社団法人 日本作業環境測定協会HP

なお、日本作業環境測定協会のホームページで、4号登録の測定士がいる測定機関を探せるので業者選定の際にぜひご活用ください。(業者選定はこちら

2)補助金交付の申請を行なう

報告書を全衛連ホームページからダウンロードし、必要な書類を添付し、郵送またはメールなどで「全衛連」に報告する。

用意する書類は次の5種類(厚生省文書より抜粋)

<全衛連のホームページでダウンロードする書類>

  • 有害ばく露防止対策補助金交付申請書
  • 事業場の概要書
  • ばく露測定をする作業所の見取り図
  • 確認書

上記の資料をまとめてダウンロードしたい方はこちら。記入例はこちら

<測定機関に作成してもらう書類>

  • ばく露測定に要する費用見積書(写)

(参考:厚生省「有害物ばく露防止対策補助金のご案内」)

3)交付決定通知書を受け取る

公募期間終了後およそ1か月以内に、交付決定(不決定)の通知が届くので受け取ったら大切に保管します。

4)測定機関に発注・測定を実施する

交付決定通知書には補助金額が記載されているので、その金額を考慮にいれながら作業環境測定機関に正式発注し、測定を実施してもらいます。

5)測定結果を「全衛連」に報告する

報告書を全衛連ホームページからダウンロードし、必要な書類を添付し、郵送またはメールなどで「全衛連」に報告する。

なぜ? 厚生省ではなく全衛連に報告する理由

全衛連とはいわば国から依頼された健康指導員。労働安全衛生法という労働災害を防止するための法律に基づいて、健康診断など実施します。

有害物ばく露防止対策補助金の申請において、厚生省から窓口業務を委託されているため、厚生省ではなく全衛連への申請が必要になるのです。

6)補助金を受け取る

指定の口座に補助金が振り込まれます。

 以上が、補助金申請のお手続きの流れとなります。

ここでご紹介した流れは、厚生省「有害物ばく露防止対策補助金のご案内」にも記載されておりますので、ダウンロードして紙で紙で見たいという方はこちらからどうぞ。

有害物ばく露防止対策補助金を活用する際の注意点

有害物ばく露防止対策補助金申請の注意点_

最後に、有害物ばく露防止対策補助金を申請する際の注意点をまとめておきます。

すみやかに補助金を受け取るためにもぜひご確認ください。

補助金の上限を考慮すること

調査人数1人につき2万円、1作業場につき最大4万円までと上限が決まっているので、補助金と持ち出し額のバランスを見ながら業者を選ぶようにしましょう。

必ず申請・交付を受けてから測定を依頼すること

厚生省の文章によると、申請前に実施した溶接ヒュームのばく露測定は支給対象とならないとの記載があるので、か必ず「申請→交付決定→測定」という流れを守るようにしましょう。

「4号登録」の測定士がいる機関に測定を依頼すること

溶接ヒューム(マンガン)の測定ができる「4号登録」の測定士がいる機関に測定してもらいましょう。

公募期間内に申請すること

有害物ばく露防止対策補助金は、公募期間が設けられており、申請は以下の期間内行う必要があります。

有害物ばく露防止対策補助金の公募期間(申請受付期間)

第1期公募:令和3年7月1日~8月31日 補助金の予定枠 1億円
第2期公募:令和3年10月1日~11月31日 補助金の予定枠 4千2百万円

なお、厚生省によると、第1期、第2期における補助金の予定枠を上回る申請があった場合、補助金交付規程の定める方法により、交付対象者を決定するとのこと。

また、補助金を申請できるのは、1事業場1回限りです。

申請手続きで困ったら相談窓口を利用しよう

溶接ヒューム法改正により、事業者は1日も早い濃度測定が求められる一方で、申請手続きは複数の業者が絡むこともありと複雑です。そのため、厚生省ではサポート窓口を用意しており、補助金申請に関する相談に応じてくれます。

わからないことがあった場合は、以下の窓口へ連絡してみるとよいでしょう。

全衛連(補助金交付事務代行事業者)相談窓口

TEL 03-6809-5855(平日 午前9時30分~午後5時)

最後に

当サイトを運営する富士酸素工業でも、溶接ヒューム補助金に関する相談を承っております。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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