さまざまな場面で業務の効率化が求められる昨今、運搬作業において大きな役割を果たしているのがホイストクレーンです。当記事では、そんなホイストクレーンの運用に加え、点検・メンテナンスにまつわる安全規則についてご紹介します。
ホイストクレーン(天井クレーン)は、ホイストによる荷物の上下移動とレールによる横移動ができるクレーンです。クレーン等の安全規則において、クレーンとは「荷を動力を用いてつり上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置」と定義されています。
ホイストクレーンと混同されるものにチェーンブロックがありますが、チェーンブロックは荷のつり上げを人力で行なう設備です。荷の水平移動を行う設備という点では共通していますが、チェーンブロックはクレーンに含まれません。
ホイストクレーンを運用するためには資格の取得や講習の受講が必要です。無免許で運用すると、作業者はもちろん事業主にも罰則が課せられます。なお、資格等は、運用するホイストクレーンの吊り上げ荷重によって異なりますので、下記を参考として、ぜひご確認ください。
・吊り上げ荷重が5トン未満→クレーンの運転の業務特別教育
吊り上げ荷重が5トン未満のクレーンを運用するためには、クレーンの運転の業務特別教育を受けなければなりません。本教育は学科9時間と実技4時間の講習を受けることで修了証を取得できます。
・吊り上げ荷重が5トン以上→床上操作式クレーン運転技能講習
吊り上げ荷重が5トン以上のホイストクレーン(床上操作式クレーン)を運用するためには、床上操作式クレーン運転技能講習の受講が必要です。本講習は学科13時間と実技7時間の講習を受けることで修了証を取得できます。
ホイストクレーンを使用するためには、定期的な自主点検が必要です。ホイストクレーンは、人の手では運搬できない重量物を運ぶために使われます。そのため、使用状況によっては激しく劣化することが少なくありません。故障や不具合を引き起こすと、大きな事故につながる恐れもあります。
労働安全衛生法の第45条で、定期的な点検・メンテナンスについて下記のように定められています。(※一部を抜粋)
事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
また、さらに詳細については、クレーン等安全規則第34〜39条でより下記のように定めらています。(※一部を抜粋)
・吊り上げ荷重0.5t(500kg)以上のクレーン(移動式を含む)について
1年以内ごとに1回、1月以内ごとに1回、およびその日の作業開始前に点検を行い、月次・年次の検査結果を3年間保管する
自主点検には年次と月次があり、さらに作業開始前には毎回点検を行う必要があります。また、月次・年次の点検については、その結果の記録を3年間保管しておかなくてはなりません。作業開始前の点検は法的に記録の保管が必須とされていませんが、何らかの異常が発見された場合にはすぐに補修を行う必要があります。
点検の詳細項目については、下記記事にてご紹介していますので、是非ご確認ください。
今回はホイストクレーンの安全運用にまつわる法律・規則について解説しました。
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