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塗床工事と床塗装の違いとは?

塗床工事と床塗装の違いとは?
投稿日:2024年12月13日

床の仕上げ方法には「塗床工事」と「床塗装」があり、どちらも床を塗料して仕上げる点は共通しています。では、どのような点が違うのでしょうか。この記事では、塗床工事と床塗装の違いを分かりやすく解説し、それぞれの特徴やメリット・デメリット、および最適な選択方法についてご紹介します。

塗床工事とは?

塗床工事とは、床材に厚膜塗料を塗って、床の耐久性や美観を向上させる工事です。コンクリートなどの下地の上に、専用の塗料を複数回重ね塗りすることで、耐久性・耐薬品性・防水性などに優れた床面を形成します。塗料の種類や塗り重ねる回数によって、床の厚みや強度を調整することも可能です。

塗床工事は、主に工場や倉庫、病院、厨房など、高い耐久性や耐薬品性、防水性などが求められる場所で採用されています。

塗床工事のメリット

塗床工事には以下のようなメリットがあります。

⓵耐久性に優れている

塗床工事を施した床は、重量物や衝撃に非常に強く、長期間にわたって床面を保護することができます。フォークリフトなどの重機が頻繁に走行する工場や倉庫でも安心です。また、摩耗や傷にも強いため、美観を長く保つことができます。

②耐薬品性に優れている

塗床工事では、耐薬品性に優れた塗料を使用するため、薬品や油脂などによる腐食を防ぐことが可能です。化学薬品を扱う工場や研究所、ガソリンスタンドなど、薬品にさらされる可能性のある場所でも、床面をしっかりと保護します。

③防水性が高い

塗床工事を施した床は防水性が高く、床材が水や湿気による劣化を防ぐことができます。そのため、水の使用が多い厨房や浴室、プールサイドの床にも安心です。床材の腐食やカビの発生を抑制することで、建物の寿命を延ばすことにも貢献します。

④衛生面が向上する

塗床工事を施した床は、表面が滑らかで継ぎ目が少ないため、汚れが溜まりにくく、清掃が容易です。抗菌性のある塗料を使用すれば、菌の繁殖を抑え、清潔な環境を維持することもできます。病院や食品工場など、衛生面を特に重視する場所に最適です。

⑤デザイン性が高い

塗床工事は、色や模様の選択肢が豊富です。空間を自由かつ個性的に演出し、建物のデザイン性を高めることもできます。例えば、オフィスや店舗などでは、 コーポレートカラーやブランドイメージに合わせた床をデザインすることにより、空間全体の印象を統一することも可能です。

塗床工事のデメリット

メリットの多い塗床工事ですが、以下のようなデメリットもあります。

⓵工期が長い

塗床工事は、塗料を複数回塗り重ねる工事です。それぞれの層をしっかりと乾燥させなければなりません。そのため、床塗装と比べると工期が長くなる傾向があります。厚く塗り重ねるほど乾燥に時間がかかるからです。工期が長くなると、その間の施設の利用が制限されるため、事前にスケジュールをよく検討する必要があります。

②コストが高い

塗床工事は、重ね塗りするため、当然使用する塗料の量も多くなります。つまり、塗料が多く必要な分、床塗装よりもコストが高くなりやすいということです。特に、高機能な塗料を使用する場合や、複雑な形状の床に施工する場合、コストが大きく上がる可能性があります。予算に合わせて塗料を選ぶなど、コストを抑える工夫が必要です。

床塗装とは?

床塗装とは、床材の保護や美観向上、防塵効果などを目的として、既存の床材の上に塗料を塗布する工事のことです。塗料の種類が豊富で、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系など、用途や環境に合わせて選ぶことができます。

床塗装は、住宅やオフィス、店舗など、比較的床に負荷がかかりにくい場所(人が歩き回る程度の負荷で済む場所)で採用されることが多い方法です。

床塗装のメリット

床塗装には以下のようなメリットがあります。

⓵工期が短い

床塗装は、塗床工事に比べて工程が少なく、乾燥時間も短いため、短期間で施工が完了します。そのため、工事に伴う施設の利用制限を最小限に抑えることが可能です。

②コストが安い

床塗装は、塗床工事と比べて使用する塗料の量や工数が少ないため 、コストを抑えて施工できます。 予算に限りがある場合はもちろん、広範囲に施工する場合でも、費用面で大きな負担をかけずに床のリノベーションが可能です。

③美観が向上する

床塗装することにより色やツヤが蘇れば、床の美観が向上します。古くなった床や傷んだ床でも、塗装によって新築のような美しさを取り戻すことか可能です。塗料の種類や色も豊富なため、空間の雰囲気に合わせて自由に床をデザインすることができます。

④防塵効果が期待できる

床材の表面をコーティングしてホコリの発生を抑えれば、清潔な環境を維持することも簡単です。特に、衛生面が求められる場所では、防塵効果の高い塗料を使用することで、より効果的にホコリを抑制することができます。

床塗装のデメリット

さまざまなメリットがある床塗装にも、次のようなデメリットがあります。

⓵耐久性が低い

床塗装は塗膜が薄いため、塗床工事と比べると耐久性が低く、摩耗や衝撃にも弱いです。重量物やフォークリフトなどの重荷重が頻繁にかかる場所では、塗膜が剥がれたり、傷ついたりする懸念があります。

②耐薬品性が低い

床塗装は、塗床工事に比べて耐薬品性が低いため、薬品や油脂などによる腐食が発生する可能性が高いです。薬品を扱う場所では、塗料の種類によっては、変色や劣化が起こるかもしれません。

③防水性が低い

床塗装は、塗床工事に比べて防水性が低いため、水や湿気による劣化が起こりやすいです。水を使うことが多い場所では、塗膜が剥がれたり、膨れたりする可能性があります。

塗床工事と床塗装の選び方

塗床工事と床塗装のどちらがよいとは一概には言えません。使用場所の環境や用途、目的、予算などを考慮して、総合的に判断する必要があります。どちらを選んだ方がよいか迷った場合は、以下を参考にしてください。

塗床工事が適しているケース

塗床工事を選んだ方がよいのは、以下のような場所に施工する場合です。

  • 工場や倉庫など重量物やフォークリフトなどの重荷重が頻繁にかかる場所
  • 薬品や油脂などを扱う場所
  • 水や湿気が多い場所
  • 衛生面を特に重視する場所
  • 耐久性や耐薬品性を重視する場所

床塗装が適しているケース

一方、床塗装を選んだ方がよいのは、以下のような場所やケースです。

  • 住宅やオフィスなど軽歩行の場所
  • 低コストで美観を向上させたい場合
  • 低コストで防塵したい場合
  • とにかくコストを抑えたい場合
  • 工期をできるだけ短くしたい場合

当社の塗床工事の施工事例をご紹介

事例1 埠頭株式会社様 塗床

【お困りごと背景】

ガスや工具等を以前から購入していただいているユーザー様です。工場改修のご提案をしている中で、床の補修を検討しているとの情報を受け、ご提案させていただきました。

機械整備はもちろんのこと、小型重機から大型重機まで整備しており、工場内に車輌が出入りすることも多いため、コンクリート生地にクラックが入ったり、穴等の欠損が多数ありました。

整備の際に車輛を持ち上げるために使用する油圧ジャッキを置く床が平坦でないためお困りとのこと。出来るだけ欠損の無い場所へ設置したい、作業性も改善したいといった要望も聞かれました。

また、機械油を日常的に使用しているため、床自体に油が染み込んでおり、一般的な塗料では剥がれやすく、その点にも困っていたようです。

そこで、『密着に特化した塗料』で有名な「染めQテクノロジィ様」の塗料をご紹介し、おすすめしました。

【導入効果】

まず、油が染み込んだコンクリート生地を専用の機械で表面研磨・清掃し調整します。

その後、凹凸だった床に深部までガッチリ固めて補強するUMフィラーを塗り、固めました。塗った後、表面を出来るだけ平坦にするため、更に研磨し、希望に近い生地に仕上げることができました。これで油圧ジャッキの設置場所も気にせず作業が出来ると思います。

上塗りは作業者の安全性を考慮し少し珪砂を吹きかけ滑り止め加工を施しました。塗料自体密着性に優れているので、塗料は剥がれにくく長く使用できるようになったはずです。作業工程もできるだけ業務に支障が出ないように工夫しました。3日間で完了することができ、お客様も大変喜んでおられます。

事例2 紙容器製造業 S様 工場床のクラック補修・塗装工事

【お困りごと背景】

現状、通路の塗装は経年劣化で剥がれ、重量物を運ぶ際にできたクラックが所々目立っている状況でした。頻繁にお客様ご自身で塗装していたとのことですが、なかなか床に塗料が密着してくれず、大変苦労をされたようです。

現地調査したところ、弊社協力会社様の見解では、「製造中に使用される食品由来の成分が通路に付着し、塗料が密着せず剥がれやすいのではないか」ということでした。試しに1㎡テストで特殊塗料を塗り状況をみた結果、お客様からよい評価をいただきましたので、水性硬質ウレタン工法を採用し施工する運びとなりました。また、お客様より土曜・日曜の工場休日を使い施工を完了してほしいとのご要望でした。

【導入効果】

塗床工事のことなら弊社にお任せください

静岡スマートファクトリー.comを運営する富士酸素工業株式会社では、静岡県を中心に工場のさまざまな問題についてご相談を承っています。今回ご紹介した塗床工事以外のことでもかまいません。コンプレッサやホイストクレーンなどについてもお伺いします。

静岡県内の工場のことで何かお困りなら、是非一度静岡スマートファクトリー.comを運営する富士酸素工業株式会社まで、お気軽にご相談ください。