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ジブクレーンにたわみが発生!原因と防ぐための対策は?

ジブクレーンにたわみが発生!原因と防ぐための対策は?
投稿日:2026年2月5日

工場の現場や荷役作業で広く使用されるジブクレーン。柱(マスト)を中心に腕(ジブ)を旋回させることによって、限られたスペースでも効率的に荷物を運搬できる便利な機械です。しかし、このジブクレーンを安全に使用し続けるためには、「たわみ」の発生に注意しなければなりません。

今回は、ジブクレーンで「たわみ」が発生する原因や「過度なたわみ」を放置することのリスクを説明したうえで、対策方法や予防保全の重要性などについても解説します。

ジブクレーンのたわみとは?

ジブクレーンにおける「たわみ」とは、クレーンのジブ(腕の部分)に荷重(荷物)をかけた際に、ジブが重力によって下向きにしなる現象です。

鉄骨でできたジブでも、重さがかかれば物理の法則には逆らえず、わずかに変形します。設計の範囲内で起こる一定のたわみなら、問題のない弾性変形であり、構造物が力を吸収している証拠ですから心配はいりません。

しかし、問題となるのは「設計で想定された以上のたわみ」や「荷重を取り除いても元に戻らないたわみ(永久変形)」です。これらはクレーンの安全性と機能性に重大な影響を及ぼす危険があります。

ジブクレーンにおけるたわみはなぜ発生するのか?原因について

安全な運用を脅かす「過度なたわみ」は、主に以下のような原因によって引き起こされます。

原因①:定格荷重の超過(オーバーロード)

最も一般的で危険な原因です。クレーンごとに定められた「吊り上げられる重さの上限(定格荷重)」を超えた荷物を吊り上げると、ジブには設計想定以上の力がかかります。これにより、ジブは大きくたわみ、最悪の場合、永久変形や破損につながります。

原因②:経年劣化と金属疲労

クレーンは何度も繰り返し荷重がかかる機械です。長い年月使用し続けることによって、経年劣化や金属疲労が発生します。

原因③:腐食・発錆

屋外設置や湿度の高い環境では、サビが発生しやすくなります。サビは鉄の断面積を減少させ、強度を直接的に低下させるため、たわみが発生しやすくなります。

原因④:不適切な操作(衝撃荷重)

急激な巻き上げや、斜め引き、急停止・急旋回といった「動荷重」をかける操作は非常に危険です。静止した物体にかかる重力=静荷重とは異なり、動荷重は時間と共に荷重が変化するからです。瞬間的に過度な重力がジブにかかるため、過度なたわみを引き起こすことになります。

原因⑤:設置不良・地盤沈下

ジブクレーンを支える柱(マスト)や基礎が、正しく垂直・水平に設置されていない場合は、ジブや旋回部に余計なねじれや応力がかかります。また、設置後の地盤沈下によって傾きが発生した場合も同様に、たわみを助長する原因となります。

ジブクレーンのたわみが引き起こすリスクについて

ジブのたわみが大きくなると、単に「曲がっている」という外観上の問題だけでは済まなくなり、以下のような重大なリスクを引き起こすことになりかねません。

リスク①:荷振れの増大と作業性の悪化

ジブが大きくたわむと、荷物の位置が安定しません。特に旋回停止時に、たわみの反動で荷物が大きく振れ(荷振れ)るため、狙った位置に正確に荷物を降ろすことが困難になります。

リスク②:荷物の落下リスク

荷振れが大きくなることで、吊り具から荷物が滑り落ちたり、周囲の障害物や作業者に衝突したりする危険性が高まります。

リスク③:クレーン本体へのダメージ

過度なたわみは、ジブの付け根や旋回部分、ホイスト(巻上機)の走行レールなど、クレーン全体に過剰なストレスを与え続けます。これにより、各部の摩耗や破損が早まります。

リスク④:重大事故(クレーンの倒壊・破損)

たわみが限界を超えると、ジブが折れ曲がる「座屈」が発生しやすく、最悪の場合は、ジブの破損やクレーン本体の転倒といった、人命に関わる重大な事故にもつながりかねません。

たわみ対策と予防保全の重要性

これらのリスクを回避し、ジブクレーンを安全に長く使い続けるためには、日々の対策と計画的なメンテナンス(予防保全)が不可欠です。

たわみ対策

対策①:定格荷重の厳守

これが最も重要です。吊り上げる荷物の重量を必ず確認し、定格荷重を絶対に超えないよう徹底してください。

対策②:安全な運転操作の徹底

「ゆっくり動かし、ゆっくり止める」が基本です。衝撃荷重を与えないよう、丁寧な操作を心がけてください。斜め引きも厳禁です。

対策③:設置環境の確認

基礎コンクリートにひび割れがないか、柱が傾いていないかなど、設置状態に異常がないか定期的に確認します。

予防保全の重要性

ジブクレーンは、労働安全衛生法により定期的な点検(年次・月次・作業開始前)が義務付けられています。

たわみ対策における予防保全では、以下のような点が重要です。

ポイント①:目視点検

ジブや柱に亀裂、著しいサビ、変形がないかを確認します。

ポイント②:たわみ量の測定

定期的に定格荷重の荷物を吊り、その際の「たわみ量」を測定・記録します。この数値が購入時や前回の点検時と比べて著しく増大していないかを比較することで、目に見えない金属疲労などの進行度合いを察知できます。

ポイント③:消耗品の交換

ホイストのワイヤーロープやブレーキライニングなど、消耗品を適切なタイミングで交換し、常にベストな状態を保ちます。

「いつもより大きくしなっている気がする」「旋回を止めると荷物が揺れ続ける」といった小さな違和感が、重大な事故の予兆である可能性もあります。不具合が発生する前に異常を検知し、対処する「予防保全」こそが、安全と生産性を守る鍵となります。

ホイストクレーンの修理・点検・メンテナンスならお任せください!

日頃の業務を遂行しながらジブクレーンを含むホイストクレーンの定期的なメンテナンスを行うことは容易でありません。滞りなく、的確なメンテナンスを行うためには、専門業者にメンテナンスを外注することを検討してみてもよいでしょう。

静岡スマートファクトリー.comを運営する富士酸素工業株式会社では、静岡県を中心に工場のさまざまな問題についてご相談を承っています。今回ご紹介しましたホイストクレーン以外についてのお悩みでもかまいません。静岡県内の工場関連機器のお悩みであれば、ぜひ一度静岡スマートファクトリー.comを運営する富士酸素工業株式会社まで、お気軽にご相談ください。