2050年までに実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする、脱炭素社会の実現に向けて、日ごとに企業へのプレッシャーを高まっていますが、実は中小企業ほど早急な対応が言われていることをご存知でしょうか?では、それはなぜか?この記事でわかりやすくご紹介いたします。
脱炭素経営とは、文字通り脱炭素(炭素排出量実質ゼロ)という考え方を組み込んだ経営手法のこと。昨今、投資家の間では、ESG投資という「どれくらい環境に配慮した経営をしているか?」という指標が主流になりつつます。そんな中、脱炭素経営は、投資家から資金を獲得するための切り札として、特に大企業に注目されています。
一般的に、投資家からプレッシャーが大企業ほどでではない場合が多い中小企業ですが、実は4割もの企業で脱炭素化への取り組みが始まっているというデータがあります。神戸市で行われた調査によると、兵庫県内の約45%もの中小企業のがすでに脱炭素化への対応を始めていると回答しました。
このように脱炭素経営という考え方は、大企業だけでなく中小企業の間でもすでに“当たり前”になりつつあるのです。
ここまで、中小企業の間でも脱炭素経営が当たり前になりつつあることをデータをもとにご紹介しましたがが、一体それはなぜなのでしょうか?実は、経営の存続を左右する重大な3つの理由があります。
トヨタをはじめ大手企業が続々とサプライチェーン全体での脱炭素化に取り組むことを宣言していることはご存知でしょうか? 今後この企業経営における脱炭素化の流れはますます強くなることが予想され、対応に遅れるとサプライチェーンから排除されてしまう可能があります。
環境への配慮した投資「ESG投資」が世界的に広まり、資金確保のために大企業が対策に追われていますが、その波は中小企業にも広がっています。
株式を非公開にしている企業も少なくない中小においては、あまり関係ないと考えられてしまいがちですが、実はその考えは正しくないと経営の専門家が指摘しており、脱炭素経営に取り組まないと銀行からの融資において不利に働く可能性があります。
銀行自体がESG経営、SDGs経営を掲げている以上、企業に融資する際に、その企業が非上場であっても情報開示を促し、対応できなければ条件が厳しくなることも予想できるのです。
出典:日経BP企画・制作メディア「ディシジョン・コンパス」の記事:吉高まり氏「中小企業にESG投資の影響、SDGsも対応必須に」より引用
都市銀行であれ、地銀であれ、借入れ先の金融機関が上場している場合は、その金融機関自体が投資家からの評価にされることになります。
つまり、金融機関が投資家の評価を気にするがあまり、今後ESGに配慮しない中小企業への資金を出し渋るという判断を下す可能性は十分考えられるのです。
企業広報戦略研究所(電通パブリックリレーションズ内)が全国1万人を対象に実施した環境意識調査の結果、若い世代ほどSDGへの認知度が高いということがわかっています。
加えて、マイナビが新卒向けに実施した、就活の際に重視したフレーズ調査では、「人の役に立つ」「社会貢献」といったフレーズが1位、2位という結果に。若い世代ほどの社会貢献欲が強いという結果もわかりました。
SDGsへの関心があり、社会貢献意欲も高い若い世代は、所属する企業に対しても高い環境意識を求めると考えられ、今後、脱炭素化に取り組まないことは採用面でも大きなハンデになることが予想されます。
脱炭素かへの対応は、全世界的なムーブメントであり、今後も企業に対するプレッシャーは強くなることが予想されます。また、大企業を中心に脱炭素経営が加速しており、中小企業の対策も急務です。脱炭素経営シフトの遅れは、シゴト・カネ・ヒトといった経営資源を圧迫する要因となりますので、今すぐ対策を始めることをお勧めします。