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溶接ヒューム法改正|マスク選びに重要な【防護係数】とは?

溶接ヒューム法改正|マスク選びに重要な【防護係数】とは?
投稿日:2021年12月3日

溶接ヒュームの法改正により、防塵マスクなど呼吸用保護具の着用が義務化されましたが、厚生省の文書には専門用語が多く、「これどういう意味?」と疑問を思ったことはありませんか?

今回は、そんな専門用語の中でも特に知っておきたい「防護係数」という言葉について解説します。

そもそも、防護係数とは何を表す数値?

防護係数とは、防塵マスクなど呼吸用保護具の性能を表す数値です。防護係数が高ければ高いほど、マスク内への粉じんの漏れ込みが少なく、作業者のばく露が少ない呼吸保護具ということになります。

要求防護係数を上回る値の「呼吸用保護具」着用が義務化

溶接ヒューム法改正(労働安全衛生法施行令、特定化学物質障害予防規則等の改正)により、金属アーク溶接等作業に労働者には、その作業環境で必要とされる防護係数(要求防護係数)を上回る「指定防護係数」の呼吸保護具を着用することが義務付けられました。

第二条 特化則第三十八条の二十一第六項

呼吸用保護具は、当該呼吸用保護具に係る要求防護係数を上回る指定防護係数を有するものでなければならない。

出典:厚生労働省「金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場に係る溶接ヒュームの濃度の測定の方法等」より

要求防護係数とは、測定された溶接ヒューム中のマンガン濃度を基準値(0.05mg/m3)で除した値で、わかりやすく言えば「マスク選びの目安となる数値」です。

各機関により規定された呼吸用保護具の種類ごとの防護係数の値を指します。溶接ヒューム法改正においても、防塵マスクや電動ファン付き呼吸用保護具など各呼吸保護具ごとに指定防護係数が定められています。

溶接ヒューム法改正後の呼吸用保護具の選び方(厚生省推奨)

溶接ヒューム法改正により、作業環境ごとに求められる防護係数(要求防護係数)を測定することが義務付けられたとお伝えしましたが、では今後どのように呼吸用保護具を選べばいいのでしょうか? 厚生省では下記のような流れで進めることを推奨しています。

呼吸用保護具選び2ステップ

1)溶接ヒュームの濃度の測定の結果得られたマンガン濃度の最大の値(C)を使用し、「PFr = C / 0.05」という計算式により「要求防護係数」を算定する。
2)「要求防護係数」を上回る「指定防護係数」を有する呼吸用保護具を選択する
※ PFr:要求防護係数  C:溶接ヒューム中のマンガン濃度

なお、各呼吸用保護具の指定防護係数は、種類に応じて定められており、以下の表のとおりです。呼吸用保護具を選択する際にご活用ください。

最後に

当サイトを運営している富士酸素工業では、溶接ヒューム法改正により必要となる機器の導入や作業環境の改善などをマルチにサポートしております。お困りごとがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。