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溶接ヒューム法改正により、溶接事業者には換気措置が義務化されましたが、どんな換気装置を導入すればよいのでしょうか?また、自社に合った装置を選ぶにはどうすればよいか?静岡県で数多くの製造業をサポートする富士酸素工業がご紹介します。
溶接ヒュームが、労働者に神経障害等の健康障害を及ぼす恐れがあることが明らかになったことから、金属アーク溶接等の作業を行なう事業者は、換気措置をとることが義務化されました。
金属アーク溶接等作業に関する溶接ヒュームを減少させるため、全体換気装置による換気の実施 またはこれと同等以上の措置を講じる必要があります。
出典:厚生省:パンフレット(屋内溶接ヒューム)より
厚生省は、金属アーク溶接等作業を行なう場合、全体換気装置による換気、またはこれと同等とされる換気を講じるよう必要があると言っており、具体的には以下の装置によって換気することを推奨しています。
これらの換気方法はそれぞれにメリット、デメリットがあり、どれが一番優れているという絶対的なものではありません。そのため、リスクと費用対効果のバランスを考えて決定するのがおすすめです。
全体換気装置、プッシュプル型換気装置、局所排気装置、それぞれにメリット・デメリットがあるとお伝えしましたが、具体的にどんな違いがあるか?イメージが掴みやすいよう、違いを一覧にしましたのでご覧ください。
換気方法 | メリット | デメリット |
全体換気 | ・導入・運用のコストが小さい ・場所を取らない ・作業性を損なわない ・設置が簡単 | ・周囲が汚染されるリスクがある ・排気処理ができない |
プッシュプル換気 | ・周囲が汚染されるリスクが少ない ・排気処理ができる ・作業性を損なうことが少ない | ・導入・運用コストが大きい ・場所を取る |
局所排気 | ・周囲まで汚染されるリスクが少ない ・排気処理画できる | ・導入・運用コストが大きい ・場所を取る ・作業性を損なうことがある |
それぞれの換気装置のイメージが掴めたでしょうか?もっと詳しく知りたい方のために、以下にそれぞれの換気装置の特徴をまとめましたので併せてご覧ください。
全体換気装置とは、作業場外から清浄な空気を取り込み、作業場内で発散している有害物質と混ぜ合わせながら場外に排出する換気装置です。作業場内の有害物質の濃度が有害にならないように、外部の空気を混ぜ合わせることで作業者へのばく露を少なくすることができます。
水蒸気、臭いなど、汚れた空気が工場内全体に蔓延するような作業場で特に有効です。ただし、リスクアセスメントの結果で、リスクが大きい場合には、局所排気装置、プッシュプル型換気装置の導入が望ましいとされています。(厚生省資料より)。
プッシュプル型換気装置とは、文字通り汚染物質を押し出し(プッシュ)、反対側から吸い込む(プル)ことで換気を行なう装置です。プッシュプル換気は、気流が平均0.3m/s前後と比較的緩やかなので、溶接作業の仕上がりへの影響を出さずに換気できます。
局所排気装置とは、粉じんや有機溶剤、ガスといった人体に有害な物質をダクトで吸い込み屋外に排出する装置です。有害物質の発生源のそばに吸い込み口(フード)を設け、常に吸引するような局所的な気流をつくることで、室内に有害物質が拡散する前に排出します。ダクトに集じん機や排ガス処理装置などの空気清浄装置を取り付ければ、排気による大気汚染を防ぐことも可能です。
ただし、厚生労働省令に即した要件を満たさない法的に局所排気装置と認めらないこともあるため、設置を検討する場合は専門家へ相談することをおすすめします。
ここまで、3つの換気装置を紹介してきましたが、自社に合った換気装置を選ぶにはどうすればよいのでしょうか?
厚生省の資料には、換気装置を選ぶ際に以下のようにすると良いと書かれていましたのでご紹介します。
換気の方法として、大きく局所排気、プッシュプル換気、全体換気の3つがあり、対象となる化学物質のリスクと費用対効果のバランスを考えて決定する必要があります。メリットやデメリットを踏まえ、専門家やメーカーに相談し、適切な換気装置を導入しましょう。
出典:厚生省作成書類「ommon_Ventilating.pdf」より
ここで重要なのは、専門家やメーカーへの相談することを推奨している点です。
最適な換気装置を選ぶには、換気装置だけでなく法律や化学物質、調査などの幅広い知識とノウハウが必要となります。仮に自社だけで独自の判断を重ねてしまうと、最悪の場合、十分な換気措置が取れていないと国に判断されてしまうおそれもありますので、ぜひ専門家へご相談ください。
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