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溶接ヒューム法改正|マンガンを含まない材料も対策いる?

溶接ヒューム法改正|マンガンを含まない材料も対策いる?
投稿日:2021年11月12日

溶接材料や母材にマンガンが含まれない場合でも、法改正で求められるような措置を行う必要があるのか?厚生省の見解、そして理由とともにお答えします。

溶接ヒューム中のマンガン濃度がゼロでも法改正の対策は必要

結論から述べると、溶接材料及び母材にマンガン成分が含まれていない場合でも、法改正対策は必要です。

溶接ヒュームと塩基酸化マンガンが同時に特定化学物質に指定されたこともあり、「マンガンが含まれていない材料を使った溶接なら大丈夫なのでは?」と考える溶接事業者もいるようですが、これは誤り。厚生省も公式文書の中で否定しています。

厚生省の見解(抜粋)

新特化則の規制対象となる第2類物質は、マンガンの含有の有無にかかわらず「溶接ヒューム」としています。

厚生省「改正特定化学物質障害予防規則に関するQ&A」より

マンガンと溶接ヒュームには法律上別の物質という扱い

溶接ヒュームの中に塩基酸化マンガンの成分が含まれることもあるので影響も混同されがちですが、労働安全衛生法施行令ではそれぞれは別のものとして規定されており、与える人体への影響も異なるとされています。

溶接ヒュームは肺がんの原因に

国際がん研究機構(IARC)が、2017年に溶接ヒュームを「ヒトに対する発がん性」がある物質に分類したように、溶接ヒュームはがんの発症に関連性があるとさています。

マンガンは神経障害の原因に

溶接ヒュームそのものが発がん性があるのに対し、マンガンは神経障害があるとされています。

このようにマンガンと溶接ヒュームには、人体に対して異なる悪影響があり法律上別の物質と扱われるため、たとえマンガンを含まない材料や母材を溶接するとしても対策が必要になるのです。

注意:溶接ヒューム法改正対策はミスが起こりやすい状況

塩基性酸化マンガンおよび溶接ヒュームに係る労働者の健康障害防止対策を強化すること等を目的として行わられた今回の法改正は、措置期限あり対策が急務です。

しかし、公的文書は難解で、グーグルで検索してみると「溶接ヒューム 法改正 わかりやすく」という予測検索が出るほど混乱しながら対策が行われている状況です。

失敗しないためにも専門家に相談しよう

法改正の対策には、濃度測定、喚起装置の導入など各分野の専門知識が必要不可欠です。失敗したり抜け漏れなどが発生し、企業の信用を落とすようなことが起こらないよう、困った時は専門家に助言を仰ぐのが賢明でしょう。

最後に

当サイトを運営する富士酸素工業でも、溶接ヒュームの濃度測定や換気装置導入のサポートをしています。お困りごとやお悩みなどどうぞお気軽にお問い合わせください