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工場や建設現場などで重い荷物の上げ下げや運搬をするに欠かせないホイストクレーン。適切に使用していても調子が悪いときや故障しているのではないかと不安になるときがあるものです。今回のコラムでは、ホイストクレーンで起きやすい、ブレーキの故障について、その原因と対策を紹介します。
ホイストクレーンはホイストとクレーンを組み合わせた装置です。ホイストとは、ロープやチェーンを巻き付けたホイールによって荷物の昇降を行う装置のことで、クレーンは動力によって荷物を吊り上げて水平運搬を行う装置です。
ホイストクレーンは、ロープやチェーンの巻き上げ装置として電気ホイストが用いられているクレーンを指し、重量のある荷物を円滑に運搬するために、主に工場や建設現場などで使用されています。
ホイストクレーンにおけるブレーキは、モーターの動作に摩擦でブレーキをかけ、正確に所定の位置に停止できるようにするものです。ブレーキが故障すると吊り上げた荷物を下ろす際に、そのまま滑り落ちてしまうなどといった事故につながります。
ホイストクレーンのブレーキによく見られる故障のパターンと、対策について紹介します。
ブレーキが利かない原因には主に以下のようなことが考えられます。
・レバーのヒンジが固着している
・ブレーキホイールや摩擦板(フリクションプレート)の摩耗が激しい
・ブレーキホイールや摩擦板が油で汚れている
・ぜんまいやナットなどのゆるみ
これらを解決するには、
・油汚れの除去
・ブレーキの調整
・ロックナットを締める
・摩擦板の交換
といった簡単な作業で済む場合があります。しかし、場合によってはプッシャー機構と電装部品のオーバーホールが必要となることもあります。
作動させたブレーキが解除できない原因には、以下のような原因が考えられます。
・ヒンジ部の固着
・エアやオイルの不足
・メインスプリングのバネが強すぎる
・ブレーキパッドの油汚れ
これらを解決する方法は、ブレーキの故障時とほとんど同じです。
・詰まりを取り除き、空気を抜き、オイルを追加する
・油汚れの除去、摩耗がひどいブレーキパッドは交換する
この他にも各種スプリングやホイールの交換が必要になることがあります。
ブレーキ中に片方のブレーキバンドがホイールから離れずに過度に摩擦がかかり、温度が上昇すると煙が発生することがあります。
これは、ブレーキバンドの中心とブレーキホイールの中心が一致するよう、開いた後の両側の隙間が均等になるように調整することで解決します。
ただし、調整が適切でも夏場の高温の作業場で連続稼働することで高温になるものもあります。そのため、時期に応じて適時冷却する必要があります。
ホイストクレーンは月次定期自主検査と年次定期自主検査の2種類を行うことが法律で定められています。日々の使用や定期的な点検で異常を感じた場合は、無理に使用すると故障や重大な事故につながる可能性があります。
異常を感じた場合には、専門家による検査やメンテナンス、場合によっては修理を依頼することで、ホイストクレーンを長持ちさせられ、結果としてコストダウンにもつなげられます。
ブレーキが適切に効くようにするためだけでなく、長くほいすとクレーンを使うためにも、定期的にメンテナンスを実施することは、安全上必須のことです。
しかし、日々ホイストクレーンを稼働させている中、通常業務の合間を縫って徹底的な点検を行うことは簡単ではありません。法令に基づいた点検を確実に行うためにも、外部の専門業者に点検を依頼することも検討してみてください。
ホイストクレーンの修理・メンテナンスに関わるお悩みがございましたら、静岡スマートファクトリー.comを運営する富士酸素工業株式会社まで、お気軽にご相談ください。