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工場や倉庫などでの重い荷物の上げ下げや運搬に欠かせないホイストクレーン。適切に使用していても、長く使用するためには定期的なメンテナンスや修理が必要です。今回のコラムではホイストクレーンのメンテナンスと、義務付けられている自主点検について紹介します。
ホイストクレーンはホイストとクレーンを組み合わせた装置です。
ホイストは、ロープやチェーンを巻き付けたホイールによって荷物の昇降を行う装置で、クレーンは動力によって荷物を吊り上げて水平運搬を行う装置です。
ホイストクレーンはロープやチェーンの巻き上げ装置として電気ホイストが用いられているクレーンを指し、重量のある荷物を円滑に運搬するために、主に工場や建設現場などで使用されています。
クレーンは荷物を、動力によって吊り上げるものと定義されているので、巻き上げ作業を、チェーンを人力で引いて行っている場合はクレーンには該当しません。
大型で重い荷物を運ぶホイストクレーンは、些細な部品の故障などでも重大な事故につながります。
ホイストクレーンが動作しないだけならまだしも、場合によっては暴走してしまうこともあります。
また、ホイストクレーンを作動させるオペレーターのミスや日々の点検やメンテナンス不足、整備不良によって起こる事故も少なくありません。メンテナンスにおいては、動作確認だけでなく、部品の摩耗なども確認し、必要に応じて交換を行うようにしてください。
ホイストクレーンは法令で日常点検・月次点検・年次点検、そして毎秒30m以上の暴風(屋外設置の場合)や地震4以上の地震発生時の点検が義務付けられています。
故障は、日々の使用におけるほんの少しの不調が少しずつ悪化して発生することも多いものです。毎日使用する前に点検をしっかりと行うことで異常に気付きやすい環境をつくることが重要です。
クレーン等安全規則第36条では、日常点検の項目として以下の内容のチェックが定められています。
・巻過防止装置、ブレーキ、クラッチ及びコントローラーの機能
・ランウェイの上及びトロリーが横行するレールの状態
・ワイヤーロープが通っている箇所の状態
毎日の使用前に行う日常点検は、毎日行うからこそ「問題ないだろう」となおざりになりがちです。日常点検のための時間をしっかりと確保し、小さな設備の違和感に気づけるようにしておくことが重要です。
・巻過防止装置その他の安全装置、過負荷警報装置その他の警報装置、ブレーキ及びクラッチの異常の有無
・ワイヤーロープ及びつりチェーンの損傷の有無
・フック、グラブバケツト等のつり具の損傷の有無
・配線、集電装置、配電盤、開閉器及びコントローラーの異常の有無
・つり具、及び基礎の異常の有無についての点検
・荷重試験
ホイストクレーンの定期メンテナンスで実施した検査結果の記録は3年間保管する必要があります。
法令で定められた自主点検を怠った場合は50万円以下の罰金を課せられることがあります。定期メンテナンスは必ず実施するようにしてください。
法令で義務づけられているのは、日常点検・月次点検・年次点検です。ただし、これらはあくまで義務の範囲となるので、例えば、導入から長い期間が経っているものについては年次点検の内容を半年に1度の頻度で実施するなど、メンテナンスを実施する頻度を高めることで、更なる長寿命化が期待できます。
安全に作業を行うためには、定期的なメンテナンスの実施が必須です。しかし、日々ホイストクレーンを稼働させている中、通常業務の合間を縫って徹底的な点検を行うことは簡単ではありません。法令に基づいた点検を確実に行うためにも、外部の専門業者に点検を依頼することも検討してみてください。
静岡スマートファクトリー.comを運営する富士酸素工業株式会社では、静岡県を中心に工場のさまざまな問題についてご相談を承っています。
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