機械式時計に定期的に行うことで知られるオーバーホール。オーバーホールは時計だけに行われるものだけでなく油圧ポンプなどの、複雑な機構で稼働する製造現場の設備にも実施されています。
今回のコラムでは、油圧ポンプのオーバーホールについて、それを行う意義や、注意点を紹介します。
油圧ポンプは油圧の力を利用した装置の一種です。油圧とは、油にかける圧力のことをいいます。油圧ポンプは、油に圧力をかけて、吸入した油を吐出することでエネルギーを発生させます。エンジンやモーターから発生する運動エネルギーを、流体エネルギーに変換する役割を持ち、油圧ポンプがあることで、エンジンやモーターなどからかけた元々の力よりも大きなエネルギーが生み出せます。
油圧ポンプでは油を使用しているため、空気や水よりも高い圧力をかけられる、沸騰しない、粘性があって漏れにくいなどの特徴があります。
オーバーホールとは、設備や機器を分解して行われる大規模な点検のことを指します。修理やメンテナンスとの違いを確認しておきましょう。
修理は、壊れたものを直すこといいます。オーバーホールが点検を目的にして行われるのに対し、修理は直すことを目的としている点で異なります。
また、修理は故障した後、オーバーホールは故障する前に行われるものである点も両者の違いです。
オーバーホールもメンテナンスのどちらも、故障や事故を防ぐために行う点検ですが、大きく異なるのは点検の規模です。オーバーホールは部品の分解や洗浄、交換をあらゆる箇所に対して行われるもので、メンテナンスは消耗品の交換や動作確認が主です。
そのため、オーバーホールとメンテナンスでは行う頻度が異なります。メンテナンスは日常的に行われますが、製造現場におけるオーバーホールは時間もコストもかかるので、数年に1回ということも珍しくありません。
大規模な点検であるオーバーホールを行うのは故障や事故を予防し、設備を長く使えるようにするためです。
油圧ポンプは重機などの大きなエネルギーが必要とされる機械に組み込まれています。そのため、油圧ポンプがなければ作業自体ができないものも多くあります。
さらには、油圧ポンプが動作していても、圧力が上がらないなどの不具合が発生すれば、その分作業効率は落ちてしまいます。作業効率が落ち、工事日数の延長や納期の延期が発生すれば、余計なコストがかかってしまうことになります。
オーバーホールを行えば、機械の作業効率を落とさずに長く使うことができるようになる可能性が高まります。日々のメンテナンスに加えて、オーバーホールの実施もぜひ検討してください。
設備の故障を予防し、作業効率化につなげるオーバーホールには、行うことによるデメリットもあります。
設備の分解や洗浄、交換を徹底的に行うためには専門的な知識が必要です。設備の稼働と分解や交換には別の知識が必要です。実際に油圧ポンプを稼動させている現場であっても、自社でオーバーホールを行うことは難しい場合が多いでしょう。
大型の設備であればあるほど、それを構成する部品は多くなります。設備の分解から行うオーバーホールは、分解をするだけでも長い時間がかかります。そして、時間に比例して費用も大きくなるのが一般的です。
オーバーホール中は、当然設備は稼働させられないので、その点も考慮する必要があります。
油圧ポンプのオーバーホールを行うのなら、専門的な知識を持ち、効率的に作業が進められるプロに依頼するのがよいでしょう。
オーバーホールに限らず、業務のかたわらで大型の油圧ポンプの点検や修理の時間を設けることや、漏れのないメンテナンスを行うことは簡単ではありません。
油圧ポンプの修理・メンテナンス、オーバーホールに関わるお悩みがございましたら、静岡スマートファクトリー.comを運営する富士酸素工業株式会社まで、お気軽にご相談ください。