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蒸気配管の老朽化で起こり得る不具合!点検やメンテナンスの注意点は?

蒸気配管の老朽化で起こり得る不具合!点検やメンテナンスの注意点は?
投稿日:2025年6月2日

工場や各種施設において、蒸気配管はエネルギー供給の要となる重要な設備です。しかし、長年使用し続けるうちに、配管は徐々に老朽化し、さまざまな不具合を引き起こす可能性があります。これらの不具合を放置すると、生産効率が低下するだけでなく、安全面においても重大なリスクとなりかねません。

当記事では、蒸気配管の老朽化によって起こりうる不具合、そして安全な運用に欠かせない点検・修理・メンテナンスの注意点を解説します。

蒸気配管とは?

蒸気配管とは、ボイラーなどで生成された蒸気を、建物内の必要な場所へと輸送するための配管です。暖房、給湯、空調、そして製造プロセスにおける加熱や殺菌など、蒸気は幅広い用途に利用されているため、工場内には蒸気配管が数多く設置されています。

蒸気配管の老朽化による不具合

長年使用された蒸気配管は、さまざまな要因によって老朽化が進行し、以下のような不具合を引き起こす可能性があります。これらの不具合は、エネルギー効率の低下、設備の故障、そして最悪の場合、重大な事故につながるため、早期の発見と適切な対策が不可欠です。

腐食

配管内部や外部の金属が、蒸気や凝縮水、あるいは外部環境の要因によって腐食すると、厚みが薄くなったり、穴が開いたりします。特に、腐食しやすいのは、長期間水分が滞留する箇所です。用途に合わない材質が用いられている場合も腐食が発生しやすくなります。

スケールの付着

蒸気中の不純物や配管材料から溶け出した成分が、配管内部にスケールとして付着すると、流路が狭くなり、熱伝導率も低下します。そして、圧力損失の増加や、エネルギー効率の低下にもつながりかねません。

接続部の緩み・漏れ

配管の接続部(フランジ、ねじ込み部、溶接部など)の経年変化や、振動、熱膨張・収縮による緩み、シール材の劣化は。蒸気漏れの発生につながります。蒸気漏れは、熱エネルギーを損失させるうえに、作業者の火傷リスクも高める大きな問題です。

断熱材の劣化

配管を覆っている断熱材が、経年劣化や物理的な損傷によって性能が低下すると、放熱量が増加し、エネルギー効率が低下します。また、断熱材の破損箇所から水分が浸入すれば、配管の腐食が加速するかもしれません。。

弁やトラップの機能不全

配管システムに設置されている各種弁(開閉弁、調整弁など)や、凝縮水を排出するスチームトラップなどが、内部の腐食や異物の詰まりによって正常に機能しなくなることもあります。その場合は、システムの制御不良やエネルギー損失が発生します。

配管の変形・損傷

地震や外部からの衝撃、あるいは配管自体の強度低下によって、配管が変形したり、破損したりする可能性があります。配管の変形・破損は、蒸気漏れや破断に直結する危険な状態です。

蒸気配管の点検・修理・メンテナンスにおける注意点

蒸気配管設備の安全性を確保し、長期的に安定した運用を行うためには、定期的な点検、早期の修理、そして適切なメンテナンスが不可欠です。そこで、それぞれの段階における重要な注意点を解説します。

定期点検における注意点

定期的な点検は、老朽化の兆候や潜在的な不具合を早期に発見し、未然に事故を防ぐための最も重要な活動です。

  • 目視点検の徹底: 配管全体を目視で確認し、腐食、スケールの付着、接続部の緩み、断熱材の損傷、配管の変形などを注意深く観察します。蒸気漏れの有無は特に念入りに確認します。
  • 触診による確認: 配管や弁、トラップなどに触れて、異常な振動や温度上昇がないかを確認します。
  • 聴診による確認: 蒸気漏れや異音がないかを耳で注意深く確認します。

メンテナンスにおける注意点

定期的なメンテナンスは、設備の寿命を延ばし、長期的な安定運用に不可欠です。

  • 清掃: 配管内部のスケールや異物を定期的に除去することで、流路の閉塞を防ぎ、熱伝導率を維持します。
  • 増し締め・調整: 配管の接続部や弁類の緩みを定期的に増し締めしたり、動作不良を起こしている弁類を調整したりします。
  • パッキン・ガスケットの交換: 経年劣化したパッキンやガスケットは、定期的に新しいものと交換することで、漏れを防止します。
  • 断熱材の補修・交換: 損傷した断熱材は、速やかに補修または交換し、放熱ロスを抑制します。
  • スチームトラップの点検・清掃・交換: スチームトラップは、定期的に点検し、異物を取り除いたり、動作不良の場合は修理または交換を行います。
  • 定期的な耐圧試験: 法令で定められた期間ごとに、配管の耐圧試験を実施し、強度を確認します。
  • 予防保全の実施: 過去のトラブル事例や経年劣化の傾向を分析し、計画的に部品交換やオーバーホールなどの予防保全を実施することで、突発的な故障を未然に防ぎます。

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