工場や倉庫、商業施設の床は、日々の作業や人の往来によって過酷な環境にさらされています。塗床工事は、そうした床面を保護し、長期間美しさと機能性を維持するために欠かせない工事です。本記事では、塗床工事に使用する塗料の選定についてご紹介します。
塗床工事の目的は、床材の保護や美観の向上、滑り止め効果の付与、清掃のしやすさの向上などさまざまです。特に、商業施設や産業施設の塗床工事には、重要な役割が求められます。たとえば、工場の塗床に使用する塗料は、作業環境に適した特性を備えているものでなければなりません。
また、塗床工事では、塗料が床面に適切に定着し、長期間にわたって効果を発揮することが求められます。塗料の種類、施工方法、乾燥時間など、多くの要素が工事の成否に影響するため、適切な塗料の選定が不可欠です。
塗床工事において、塗料の選定が適切でなかったときには、さまざまな問題が発生します。
塗料の耐久性が足りない場合、床面が早期に劣化します。再施工することになれば、追加費用が発生し、工期の延長も必要です。
床面の滑り止め性能が不十分だと、作業者が滑って転倒する危険性が高まります。労働災害の発生が懸念されるため、工場や倉庫などでは、滑り止め性能を重視し、足元の安全性を確保することが大切です。
使用する塗料が環境に適していない場合、塗料が化学薬品や高温、紫外線などにさらされた際には、塗料が剥がれたり、変色したりすることがあります。環境に応じた性質をもつ塗料の選定が必須です。
塗床工事で使用する塗料が使用環境に合わない場合、清掃が困難になったり、衛生状態が悪化したりする原因になります。特に食品工場や病院などには、清掃性の高い塗料が必要です。
塗床工事で最も重要なポイントは、使用環境に応じた塗料を選ぶことです。塗料にはさまざまな種類があり、それぞれに特性があります。使用する場所や環境に合わせて適切な塗料を選定できれば、床面の保護効果や耐久性を最大限に引き出すことが可能です。以下に、使用環境別に塗料選定のポイントを解説します。
工場や倉庫、物流センターなど、重機やフォークリフトが頻繁に通行する場所では、塗床の耐久性が非常に重要です。これらの施設では、床面にかかる圧力や摩擦が大きいため、塗料には高い耐久性が求められます。
耐久性を重視するケースで用いる塗料として適しているのは、エポキシ系やポリウレタン系です。エポキシ系塗料は、強い接着力と耐摩耗性を持ち、長期間にわたって床面を保護することができます。一方、ポリウレタン系塗料は、耐候性が高く、紫外線による劣化に強いのが特徴です。適切な塗料を選定することで、施設の床面を長期間にわたって維持することができ、頻繁な再塗装を防ぐことができます。
屋外や日差しの強い場所、紫外線を多く受ける施設などの塗装に使用する塗料を選ぶ場合は、耐紫外線性が重要なポイントです。紫外線は塗料を劣化させ、色あせやひび割れを引き起こすことがあります。特に、工場の外壁や屋上、倉庫の入口など、外部環境にさらされる部分には、耐紫外線性に優れた塗料の使用が欠かせません。
紫外線による劣化を防ぎたい場合に選定するのは、ポリウレタン系やアクリル系の塗料です。耐紫外線性に優れており、外部環境でも長期間にわたって色を保ち、床面を保護する効果を発揮します。
化学工場や製薬工場、食品工場などでは、床面が化学薬品や油、溶剤などにさらされることが少なくありません。このような施設では、耐薬品性が非常に重要です。適切な耐薬品性を持つ塗料を選定しないと、塗膜が溶けたり剥がれたりする可能性があり、床面が傷ついたり、清掃が難しくなることが懸念されます。
耐薬品性に優れた塗料には、エポキシ系塗料やポリウレタン系塗料があります。これらは多くの化学薬品に対して耐性を持っているのが特徴です。化学薬品を取り扱う施設では、これらの塗料を選定することで、長期間にわたって安全で衛生的な環境を維持することができます。
製造業の熱処理工程や厨房、工場の炉周りなど、高温になることが想定される床面には、耐熱性の高い塗料が必要です。このような場所に耐熱性が低い塗料を使用すると、塗膜が剥がれたり、変色したりする恐れがあります。
耐熱性に優れているのは、シリコン系や耐熱エポキシ系の塗料です。これらの塗料は高温に強く、長期間にわたって床面を保護することができます。高温に耐える塗料を選定することで、耐久性を保ちながら安全性を確保することが可能です。
【お困りごと背景】
通路の塗装は経年劣化で剥がれ、重量物を運ぶ際にできたクラックが随所に目立つ状況でした。お客様ご自身で塗装されていたようですが、なかなか床に塗料が密着しないため、すぐに剥がれ、頻繁に塗り直す羽目になっていたとのことです。
現地調査した結果、「製造中に使用される食物由来の成分が通路に付着することが原因で、塗料が密着せず剥がれやすいのでは」と弊社協力会社様よりご指摘がありました。試しに1㎡テストで特殊塗料を塗り状況をみたところ、お客様より良い評価をいただき、水性硬質ウレタン工法を採用し施工する運びとなった次第です。なお、土曜・日曜の工場休日を使い施工を完了してほしいとのご要望もお客様からありました。
【お困りごと背景】
油をたくさん使ううえに、頻繁に加工製品や材料の運搬が行われる工場だったため、床面の消耗が早く、剥がれた塗料片が製品などに付着するトラブルも頻発していました。お客様ご自身で市販のエポキシ系塗料を塗って対応していたものの、頻繁に塗り直さなければならないことに煩わしさを感じているとのことでした。
消耗を遅らせ、塗り直しの手間を極力減らすため、床面への吸着力の高いナノ密着塗料『密着!!油まみれでも』を選定。過酷な環境でも、消耗しにくい床面になりました。併せて施工講習も実施したため、今後はお客様ご自身でもお手入れしていただけます。
静岡スマートファクトリー.comを運営する富士酸素工業株式会社では、静岡県を中心に工場のあらゆる問題についてご相談を承っています。今回ご紹介しました塗床工事以外にも、工場関連機器のお悩みもお伺いいたします。
静岡県内の工場のことで何かお困りなら、静岡スマートファクトリー.comを運営する富士酸素工業株式会社まで、是非お気軽にご相談ください。