工場や倉庫での作業に欠かせないホイストクレーン。今回のコラムではホイストの最重要パーツともいえる、フックについて、故障の原因と故障を防ぐ対策を解説します。
ホイストクレーンはホイストとクレーンを組み合わせた装置です。ホイストとは、ロープやチェーンを巻き付けたホイールによって荷物の昇降を行う装置のことで、クレーンは動力によって荷物を吊り上げて水平運搬を行う装置です。
ホイストクレーンは、ロープやチェーンの巻き上げ装置として電気ホイストが用いられているクレーンを指し、重量のある荷物を円滑に運搬するために、主に工場や建設現場などで使用されています。
ホイストクレーンのフックは重たい荷物を吊り下げるパーツです。フックが割れてしまったり、元々の状態よりも開いてしまったりすると、安全に荷物が吊り下げられなくなる可能性があります。
ホイストクレーンは主に以下のようなことが原因で故障します。
ホイストクレーンには、定格重量という、吊り下げてよい重量が決まっています。規定以上の重さの荷物を吊り下げると、フックに負荷がかかりすぎて、フックに溝ができる、割れてしまう、開いてしまうといった、故障につながります。
吊り下げる荷物が触れる部分とは摩擦が起きるので、フックの摩耗につながります。割れや開きがなくても摩耗により、フックが擦り減っていると安全な吊り下げに支障が出る可能性があります。
海沿いの工場など、潮風によってフックが腐食してしまうことがあります。工場内で酸の強いものを扱う際には注意が必要です。
衝撃荷重とは、物体が加速度を伴って力を受けたときに発生する荷重です。シンプルな例でいえば、体重計にゆっくりと乗るのと、ジャンプして乗るのでは、後者の方が大きな力がかかるのと同じです。フックに荷物を吊り下げる際に、きちんと静止してフックに荷物を固定せずに吊り下げるなどすると、必要以上の力がフックにかかり、故障につながります。
フックだけでなくホイストクレーン全体に定期的なメンテナンスが行われていないと、故障が発生しやすくなります。細かな異変にすぐに気づけるよう、点検とメンテナンスの実施が必要です。
フックの故障を防ぐためには、日々の使用で心がけるべきことがいくつかあります。
定格荷重より重い荷物を吊り下げることは、見た目では分からなくてもフックに大きなダメージを与えることになります。定格重量を守り、安全に使用してください。
急にフックに大きな負荷がかからないように、衝撃が伴うような吊り下げ方をしないように注意することが必要です。
日々使用する前の点検として、フックに摩耗がないか、ヒビや溝などの損傷がないかをチェックします。摩耗は毎日見ていると変化が分かりづらいので、写真などで記録を取っておき、フックの状態や開き具合の比較ができるようにしておくとよいでしょう。
必要に応じた防錆処理を施し、サビないようにすることで、長期間の使用に耐えられるようになります。
ホイストクレーンには、毎日の使用前、月次・年次の点検が義務になっていますが、フックも含めた点検をきちんと行い、フックの状態を良好に保つことが求められます。
定期的にメンテナンスを実施することは、安全上必須のことです。しかし、日々ホイストクレーンを稼働させている中、通常業務の合間を縫って徹底的な点検を行うことは簡単ではありません。法令に基づいた点検を確実に行うためにも、外部の専門業者に点検を依頼することも検討してみてください。
静岡スマートファクトリー.comを運営する富士酸素工業株式会社では、静岡県を中心に工場の様々な問題についてご相談を承っています。今回ご紹介しましたホイストクレーン以外にも、工場関連機器のお悩みもお伺いいたします。静岡県内の工場のことで何かお困りなら、是非一度静岡スマートファクトリー.comを運営する富士酸素工業株式会社まで、お気軽にご相談ください。