油圧ポンプは、産業用機械や建設用の什器、農業機械、フォークリフトなどの大きな力が求められるものに使用されています。今回のコラムでは、油圧ポンプを使用する上で重要となるメンテナンスの1つ、エア抜きについて解説します。
油圧ポンプは油圧の力を利用した装置の一種です。油圧とは、油にかける圧力のことをいい、油圧ポンプは、油に圧力をかけ、吸入した油を吐出することでエネルギーを発生させる装置となっています。エンジンやモーターから発生する運動エネルギーを、流体エネルギーに変換する役割を持ち、油圧ポンプがあることで、エンジンやモーターなどからかけた元々の力よりも大きなエネルギーが生み出せます。
サビにくく、潤滑性があるなどの理由から、大きな圧力がかけやすいので、水圧や空気圧を利用したポンプよりも大きな力が生み出せる点に特徴があります。
油圧ポンプは高い圧力をかけることで大きな力を生み出します。しかし配管内の油が漏れたり、空気が混入したりすると、圧力が下がる原因となります。油圧ポンプの圧力を正常な大きさまでに戻すために空気を抜く作業を「エア抜き」といいます。
エア抜きはエア抜き弁から行います。シリンダー内に入った空気は、ピストンをゆっくりと数回往復させてエア抜き弁から除去します。配管内に入った空気はリリーフ弁を操作し、最も低い圧力に調整して、エア抜き弁から除去します。
配管内にエア抜き弁がない場合は、ジョイントなどの接続部を少しずつゆるめて、空気や油が一気に噴き出さないように注意しながらエア抜きを行います。空気はポンプ吸入側の配管のゆるみやサクションフィルターから混入することもあるので、エア抜き時には併せて点検と確認を行います。
エア抜きの実施を検討するのは、油圧ポンプのオイル交換後と、異常音が発生したときです。
油圧ポンプはオイルの交換時や、オイル油が不足したときはポンプがエアを吸ってしまいやすい状況にあります。オイル交換後やオイル不足時に圧力が上がらなくなったり脈動が発生したりした際は、エア抜きを行いましょう。
油圧ポンプから異音が発生するのは、油を吸引する段階での不具合が起きている可能性が高いです。配管内がオイルの汚染により詰まっていたり、吸い込み側のフサクションフィルターが目詰まりを起こしていたりすると、異音が発生します。空気はサクションフィルターから混入することがあるので、異音の発生時にはエア抜きの実施が必要になることがあります。
エア抜きを行わず、配管内に空気が混入する状態のまま放置すると、十分な吐出圧や流量を得られず、ポンプの能力低下につながる恐れがあります。このような状態をエア噛みといいます。
エア噛みを起こすと、最悪の場合、ポンプが破損する可能性もあります。作業を効率的に行うためだけでなく、設備を守るためにも必要に応じたエア抜きが必須です。
今回の記事では油圧ポンプの代表的なメンテナンス方法であるエア抜きの意義や実施タイミングなどを解説しました。
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