家庭用ガス設備の安全利用:日頃の備えと緊急時の対応
この記事は、地域密着で100年以上、ガスやリフォームに関することなら何でもお任せの富士酸素工業株式会社が監修するくらしのお役立ち情報です。
日常生活に欠かせないガス設備。安全に使用し続けるためには、日頃の備えが重要です。自然災害や機器の故障などによってガス機器が急に使えなくなることがあるからです。そこで、今回は、不測の事態が発生しても困らないように、家庭用ガス設備における日頃の備えと緊急時の対応について解説します。ガス設備を長く安全に使い続けたい方は、ぜひ参考にしてください。

ガス漏れを早期発見する方法は?
ガス漏れは臭いでわかります。都市ガスもLPガスも本来は無臭ですが、万が一漏れたときに気づくように、あえて臭いを付けてあるからです。都市ガスには玉ねぎや卵が腐ったような臭い、LPガスには玉ねぎが腐ったような臭いが付けられています。いずれのガスも燃焼すると無臭になるため、ガス臭いと感じたときにはガス漏れを疑いましょう。
ガス臭いと感じたときは、まずガスの元栓を閉め、火気を近づけないようにしたうえで、換気をします。ただし、換気扇を使ってはいけません。電源を入れたときに火花が散ると、爆発や引火する危険があるからです。窓を開けて換気したら、ガス会社に連絡して、点検してもらいましょう。
ガスメーターに搭載されている安全機能とは?
ガスメーター(マイコンメーター)に搭載されている安全装置は、電気のブレーカーのような働きをします。ガスメーターの安全装置が働いてガスの供給が自動的に遮断されるのは、以下のような場合です。
- 震度5以上程度の強い揺れを感知したとき
- ガス機器がガス漏れを検知したとき
- 一定時間に極めて大量のガスが使われたとき
- 急激に大量のガスが使われたとき
- 長時間ガスが使われ続けたとき
- 流れるガスの圧力が低下したとき
- 連動している警報器や不完全燃焼警報器が作動したとき
安全装置の作動は、マイコンメーターの赤いボタンが点滅することでも確認できます。

ガスが遮断された後の対応は?
ガスメーターの安全装置が働いてガスが遮断された後は、まず、ガス機器やガスメーター近くでガスの臭いがしないか確認してください。ガスの臭いがしないようなら、自分でガスメーターを復帰させることができます。ガスの臭いがする場合は火気厳禁です。自分ではメーターを復帰させず、ガス会社に連絡して点検してもらいましょう。
ガスが遮断され、赤いランプが点滅しているときにガスメーターを復帰させる手順は以下の通りです。
- 屋外に設置されている物も含め、すべてのガス機器のつまみを元に戻す。
- ガスメーターのガス栓は開いたままにし、キャップが付いていれば復帰ボタンのキャップを外す。
- 復帰ボタンを奥まで2秒ほど押し込み、ゆっくり手を放す。
- ガスを使わずに3分ほど待つ。
- ガスメーターが安全を確認できたら点滅が収まる。
- 復帰ボタンのキャップを元に戻し、ガス機器を使用する。
なお、3分経っても赤いランプの点滅が止まらない場合は、もう一度最初からの手順を試すか、ガス会社に連絡して点検してもらう必要があります。
災害時のガス栓の閉め方は?
ガス管は、壁の中などを通して家中に張り巡らされています。ガス漏れの恐れがあるときは、二次災害が起こらないように、すべてのガス栓を閉めなければなりません。ガス栓はキッチンのコンロ周り以外にもあります。部屋にガス暖房機や屋内設置のガス給湯器用のガス栓がある場合は、それらも忘れずに閉めましょう。
さらに、屋外にあるガスメーターの元栓、LPガスの容器バルブの閉め忘れにも注意が必要です。容器バルブは、時計回りに回すと閉まります。とはいえ、ガスメーターやLPガスの容器がどこに設置されているのかわからなければ、元栓を閉めることができません。災害が起こる前に、確認しておきましょう。
ガスメーターやLPガスの容器がどこにあるか分かっても、物が置かれていたり、雑草が生えていたりして近づけない場合があります。いざというときに困らないように、通路を確保しておくことも大事です。

ガス警報器が鳴ったらどうすればいい?
ガス警報器は、ガス漏れを感知したときに反応する警報器です。警報音、ランプの点滅、警告メッセージなど、警告の方法は機種によってさまざまです。都市ガス用と比重が重いLPガス用では、設置箇所が異なります。
大きな音でガス警報器が鳴ると驚きますが、決して慌てる必要はありません。ガス警報器は、ガスの濃度が爆破限界の100分の1程度で反応するように設定されています。直ちに爆発するわけではないので、落ち着いて行動しましょう。
まずは、換気が必要です。窓や扉を開けて自然換気しましょう。ガスが充満している状態で換気扇のスイッチを入れるのは危険です。次に、メーターガス栓を含め、すべてのガス栓を閉めます。火気を近づけるのはもちろん、電気のスイッチに触れるのも厳禁です。静電気にも注意しましょう。
ガス栓を閉め終わったら、ガス会社に連絡します。その際に、どのような状況なのかを伝えるようにしてください。ガス警報器にガス漏れ警報だけでなく、不完全燃焼警報、火災警報の機能も備わっている場合は、警報の内容によってランプの色や点滅の仕方、メッセージの内容などが違います。
万が一に備えてスマホに登録しておくべき情報は?
ここまでに解説した内容を見て気づいた人がいるかもしれませんが、災害時にガスがストップした際には、自分の判断だけでは復旧させられないケースがあります。ガスだけでなく、他のライフラインについても同様でしょう。二次被害を誘発しないためにも、供給元への連絡が必要です。
特に、ガスの場合は目に見えません。万が一ガス漏れが発生すれば、近隣への被害につながるかもしれません。自宅は問題がない場合でも、近所のガス漏れに気づく場合もあります。スマホには、ガスを始めとするライフラインの供給元への連絡先も登録しておくようにしましょう。

日頃の備えが転ばぬ先の杖
普段何気なく使っているガス設備が急に使えなくなることなど、想像したことがないかもしれません。まったく想像していなかったことが起こると、どうしても慌ててしまいます。日本のどこかで大きな地震が発生したり、豪雨災害が起きたりしているのですから、自分の周りでは発生しないという考えを捨てましょう。
万が一災害が発生したら、ガス機器はどうなるのか、そのとき何をしなければいけないのかを一度シミュレーションしてみることをおすすめします。今回ご紹介した内容をプリントアウトしたり、スマホに写真を撮って保存したりして、すぐに確認できるようにしておいてもよいでしょう。
なお、古いガス機器やガスメーターがある場合は、いざというときにきちんと安全装置が作動するか点検も必要です。最寄りのガス会社に連絡して点検してもらいましょう。富士市及び富士宮市の方は、富士酸素工業株式会社にご相談ください。防災対策についてもお手伝いします。