オフィスの防災対策:家庭用防災グッズの活用法

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近年は日本各地で災害が頻発しています。皆様のオフィスでは、万全の備えができているでしょうか。防災対策は、災害が起こる前にしなければ意味がありません。まだ準備できていないということなら、今すぐに対策を始めましょう。わざわざ法人向けの防災グッズを選ばなくても、家庭用防災グッズで基本の者は揃えられます。他に必要なものがあればプラスするという形で十分です。そこで、本記事では、企業での家庭用防災グッズの活用法について解説します。

なぜ家庭用防災グッズが企業でも有効なのか

企業に勤めている人には、家にいる時間よりも、職場にいる時間の方が長いという人が多いのではないでしょうか。オフィスで働いているときに被災する可能性が高いので、オフィスにも防災グッズを用意しておく必要があります。

ただし、被災する場所が違っても、数日間過ごすために準備するものには大きな違いはありません。災害時に必要な飲料水や食料は、場所がオフィスであっても従業員個人が口にするものですから、家庭で備蓄するものと同じでも特に問題はないでしょう。ただし、法人向けのものよりも、備蓄可能な期間が短いものが含まれている可能性があります。定期的に確認して入れ替える必要はあるでしょう。

非常持ち出し袋を用意する場合も同様です。従業員それぞれが自分の分を手元に置いて管理をするのであれば、かさばらず、すぐに持ち出せるコンパクトなものがよいでしょう。最低限の必需品があらかじめセットされている家庭用の防災リュックは、そのままオフィスでも使えます。

家庭で備蓄する際も、幼児や介護の必要な高齢者がいれば、そのための食料や消耗品をプラスするはずです。オフィスに滞在するために必要になる、寝袋や毛布は別途準備することになりますから、個々が管理する基本のセットは家庭用のもので構いません。

オフィスで活用できる家庭用防災グッズのリスト

オフィスに準備しておきたい防災グッズを用途別にまとめたところ、家庭用防災グッズで賄えるものがたくさんありました。具体的なものを挙げると、以下のようになります。

<減災に役立つグッズ>

・家具を固定する金具

・OA機器の落下を防ぐ耐震マット

<防護や救助に必要なグッズ>

・応急処置セット

・ヘルメット

・皮手袋

・レインコート

・毛布

・薬(解熱剤や胃腸薬など)

<非常食>

・飲料水(1日3L3日分を人数分)

・食料(アルファ米やエナジーバー、ようかん、缶詰など3食3日分を人数分)

<衛生用品>

・簡易トイレ

・トイレットペーパー

・生理用品(女性従業員がいる場合)

・ウェットティッシュ

・歯磨きセット(うがいが不要な液体歯磨きが便利)

・ポリ袋(ゴミ袋、持ち手付きレジ袋、食品用ポリ袋などサイズ違いで用意)

・ラップ

・アルミホイル

・紙皿、紙コップ

<安全確保に必要なグッズ>

懐中電灯

乾電池(各サイズを準備)

軍手

スニーカーなど歩きやすく丈夫な靴

帰宅支援用の地図

<情報収集に必要なグッズ>

小型ラジオ

モバイルバッテリー(手回しや乾電池交換で充電できるタイプ)

家庭用防災グッズを導入する際のポイント

家庭用防災グッズをオフィス用として導入する際に押さえておきたいポイントは、まず、コスト面と実用性が両立しているかどうかという点です。家庭用の防災グッズは。ホームセンターなどでも簡単に手に入れられますが、1個または1セット単位で販売されていることが多いため、大量注文を前提としている法人向けの防災グッズよりも割高になる可能性があります。同じ個数を購入する場合は、コストの比較が必要になるでしょう。

しかし、家庭用の防災グッズは、誰でも説明書を見ずに使えるようなものが多いので、実際に使うときは使いやすいかもしれません。中身を確認できるのであれば、使いやすさも確認しましょう。そのうえで、コストと実用性を兼ね備えたものを選ぶようにすれば間違いありません。

次に、置き場所を確保できるかどうかという点も考えましょう。従業員の人数+αを備蓄するのですから、それなりのスペースが必要です。必要と思われるものすべてを準備するのは難しいかもしれません。優先順位の高いものから順に備蓄し、それ以外は従業員にそれぞれ自分で準備して管理してもらうことも考える必要があるでしょう。

また、管理のしやすさも大事なポイントになります。オフィスでは、備蓄した防災グッズの管理を限られた人数で行わなければなりません。消費期限や有効期限が短いものは頻繁に入替が必要になり管理が面倒です。また、5年、7年、10年と期限がバラバラだと管理がしにくくチェック漏れも起こりやすくなります。見直しのタイミングが合うようにしておくことも大事なポイントになるでしょう。

さらに、オフィス家具やOA機器の固定に家庭用のグッズを使用する場合は、耐荷重に注意する必要があります。オフィス家具やOA機器の重量に合わないものを使用しても、意味がありません。せっかく地震等に備えるのであれば、十分な耐荷重のあるものを選びましょう。

 従業員の協力を得るための工夫

オフィスでの防災対策には、従業員の協力が欠かせません。というのも、オフィスで災害が発生したときには、従業員は帰宅できなくなる可能性が高いからです。にもかかわらず、従業員の多くは、オフィスで災害に遭うことを想定していません。そのため、事前に災害があったときの役割分担や行動について認識を共有しておく必要があります。特に、災害発生後はすぐに家に帰れない可能性が高いことを理解してもらうことは大事です。

交通インフラが停止して帰れない場合は、従業員本人も仕方がないと諦めるでしょう。もし、無理やり帰ろうとするのなら、止めなければなりません。一気に帰宅者が殺到して混雑を引き起こせば、救助活動の妨げになります。途中で将棋倒しに遭ってケガをする可能性もあるので、会社に留まってもらった方が安全です。

災害により事業が停止した場合は、経済的なダメージを最小限に抑えるために、事業を早期再開させる必要があります。そのためには、従業員の手を借りなければなりません。オフィス内の片づけや清掃には人手が必要です。限られた手段で顧客と連絡を取るためには人海戦術に頼らなければならないかもしれません。

従業員がオフィスで災害に遭ったら、最も気になるのは、離れた場所で被災している可能性がある家族の安否でしょう。オフィスに留まって作業をしてもらうためには、家族と連絡を取れるようにしておくことがポイントになるかと思われます。災害時にきちんと家族と連絡とれるような手段を確保しておけば、従業員の協力を得やすくなるでしょう。

家庭の知恵を職場の安全に活かそう

家庭用防災グッズにもいろいろな種類があります。セットの中身も異なるので、使いやすいものを選ぶことが大事です。そのためには、家庭で用意したものの使い勝手を試して、「ここが使いづらい」「これがあった方が便利」など、気付いたことをオフィスの担当者に共有するとよいでしょう。家庭で得た知恵によって、職場の安全が強化されます。