エコキュートとはどのような給湯器?エコジョーズとの違いは?
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エコキュートとはどのような仕組みでお湯を沸かす給湯器かご存じでしょうか。エコジョーズと名前がよく似ているので、違いが気になる人もいるかもしれませんね。
そこで、この記事では、エコキュートのメリット・デメリット、エコジョーズとの違いなどについて解説します。給湯器の交換を検討している人、エコキュートとエコジョーズの違いを知りたい人は参考にしてください。
エコキュートとは?
エコキュートとは、外気の熱を利用してお湯を沸かすシステムです。正式名称を自然冷媒ヒートポンプ給湯機といい、ヒートポンプユニットと貯湯タンクの2つによって構成されています。お湯を沸かす仕組みは下記のとおりです。
- まずファンを使って外気をヒートポンプユニット内に取り込みます。
- 外気の熱で温めた冷媒(二酸化炭素)にコンプレッサーで圧力をかけ、温度を約90℃にまで高めます。
- 高温の冷媒を水加熱側の熱交換器に送り、貯湯タンク内の水を温めます。
- 冷媒は膨張弁で温度を下げられ、再び空気側の熱交換器に運ばれます。
- 貯湯タンク内はお湯と水の二層になっており、高温のお湯は、水と混ぜて設定温度に下げたうえで、洗面所や浴室、キッチンなどに給湯されます。
エコジョーズとの違いは?
エコキュートと名前がよく似ている給湯器に「エコジョーズ」があります。エコジョーズはガスを燃焼させてお湯を沸かすガス給湯器の一種です。エコキュートは電気、エコジョーズはガスを利用してお湯を沸かしている点が大きく異なります。
しかし、エコジョーズにも、エコキュート同様熱交換器が2つあり、ガスを利用するのは一次熱交換器のみです。そのため、省エネでお湯を沸かせるという点は共通しています。
エコジョーズは、一次熱交換器で発生する約200℃の排熱を二次熱交換器で水温を上げるために利用する点が特徴です。排熱だけで水の温度を約80℃まで上げられるため、一次熱交換器で使用するガスの量は最低限で済みます。
従来型のガス給湯器では供給したガスの約80%しか湯沸かしに利用できていなかったのを、エコキュートでは95%まで利用できるようになりました。ガスを無駄なく使って効率よく沸かせるようにしたガス給湯器がエコジョーズです。
エコキュートのメリット
エコキュートは電気代をあまりかけずにお湯を沸かせるということがわかりました。ここからは、従来型の電気温水器やガス給湯器と比べたときにどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
ランニングコストが安い
エコキュートは電気温水器とは異なり、直接電気でお湯を沸かすわけではありません。電気はエアコンの室外機のようなヒートポンプユニットを稼働させるためだけに使います。
しかも、電気を使用するのは、ヒートポンプのファンを回すときと、コンプレッサーで圧力をかけるときだけです。そのため、従来の電気温水器と比較すると電気代が約3分の1になります。夜間の安い電力を使ってお湯を沸かすように設定することもできるので、お湯を沸かすのに使う電力を割安な夜間電力だけにすれば、更にランニングコストを抑えることが可能です。
環境に優しい
エコキュートは大気の熱という自然エネルギーを湯沸かしに利用します。沸き上げには電気を利用しますが、電気温水器やガス給湯器と比べると、エネルギー資源の利用はわずかです。二酸化炭素の発生も大幅に減らすことができるので、環境に優しい給湯システムの1つであると言えます。
災害時でもお湯を使える
エコキュートには貯湯ユニットがあるので、断水して蛇口からは水が出ないというときでも、タンク内に貯まっているお湯を使うことができます。貯湯ユニット内に貯まっているお湯は、停電していても取り出すことができるので、災害時にはトイレを流したり食器を洗ったりするために使えて便利です。
エコキュートの貯湯ユニットは、3人家族用の標準サイズで370Lなので、タンクいっぱいにお湯が貯まっていれば、3人家族が3日間使用する水を確保できます。
エコキュートのデメリット
エコキュートには先に挙げたようなメリットがありますが、デメリットがないわけではありません。どのようなデメリットがあるかもきちんと確認しておきましょう。メリットだけでなく、デメリットも理解したうえで、判断することが大事です。
広いスペースが必要
エコキュートは、エアコンの室外機のようなヒートポンプユニットと大型冷蔵庫のようなサイズと形の貯湯ユニットの組み合わせです。
しかも、それらを並べて平置きする必要があるため、かなり広いスペースがなければ設置することができません。貯湯ユニットの高さは2mくらいあります。家の外壁に沿わせて設置するとしたら、奥行や横幅も考慮しなければなりません。エコジョーズと比較した場合、約10倍のスペースが必要です。
イニシャルコストが高い
エコキュートは、ランニングコストの安さが強調されがちですが、設置するとしたら、まずイニシャルコストを考えなければなりません。エコキュートの本体価格は30万円〜70万円なので、エコジョーズの25万円〜35万円と比較するとかなり高いと言えます。
工事費もエコキュートの方が高く、エコジョーズの約3倍です。ランニングコスト云々の前に、まとまったお金がなければ設置できません。
お湯切れが心配
エコキュートの給湯は、貯湯タンクに沸かしたお湯を貯めておき、使うときに水を混ぜて温度を調節するという形です。そのため、貯湯タンクに貯まっているお湯を使い切ったら水しか出なくなります。これがいわゆるお湯切れという状態です。水からお湯を沸かすにはかなり時間がかかるうえに、昼間に沸き増しするときは電気でお湯を沸かすことになります。
エコキュートは、普段のお湯の使い方を学習して、それに合わせてお湯を沸かすこともあり、来客などでお湯を使う人数が増えるときは特に要注意です。お湯切れを起こすと、昼間の割高な電気でお湯を沸かさなければならないため、電気代が高くついてしまいます。
夜間の運転音
エコキュートは一般的に、夜間の安い電力を利用してお湯を沸かします。稼働音は40dB〜50dBと比較的小さいものの、周りが静かな時間帯は大きく感じるかもしれません。
また、音の大きさは小さくても低周波が気になるという人もいます。近隣の寝室付近に設置した場合は、騒音トラブルに発展することもあるため、注意が必要です。
水圧が低い
エコジョーズなどガス給湯器は直圧式なので、水道水と同じ約500KPaの水圧で給湯することができます。
しかし、エコキュートは沸かしたお湯を一旦貯湯タンクに貯めて、使うときに給湯する貯湯式です。エコキュートのシャワーは、直圧式と比べると水圧が低くなります。タンクへの負担を減らすために減圧弁で水圧を下げているからです。
エコキュートの水圧は180〜190KPa程度しかありません。高圧タイプを選んだとしても、290KPa〜360KPaにしかならないので、複数の場所で同時にお湯を使うのは難しいでしょう。
飲み水には使えない
エコキュートは、貯湯タンクにお湯を貯めて使います。水道管を通る水が瞬間的に熱せられるエコジョーズなどのガス給湯器とは仕組みがそもそも違うため、エコキュートのお湯は飲用には使えません。
貯湯タンク内のお湯は、使用することで入れ替わりますが、不純物がタンク内に付着したり沈殿したりする可能性があるためです。煮沸したら飲めるかもしれませんが、メーカーは推奨していません。
エコキュートが向いていない家庭は意外と多い
エコキュートが向いているのは、太陽光発電をしている家庭や、オール電化の家庭だけです。
ガスと電気を併用している家庭にはエコキュートは向きません。ガスと併用しているなら、エコキュートではなくエコジョーズがおすすめです。
富士市及び富士宮市にお住まいで、エコジョーズやガス給湯器の交換を検討している方は、富士酸素工業株式会社にご相談ください。