災害時のライフライン!知っておきたい家庭用ガスの重要性と防災対策
この記事は、地域密着で100年以上、ガスやリフォームに関することなら何でもお任せの富士酸素工業株式会社が監修するくらしのお役立ち情報です。
災害時のライフラインについて考えたことはありますか。普段当たり前に使えている電気、ガス、水道がストップしたら…と想像してみてください。快適に過ごせなくなるのはもちろん、最低限の生活を維持するのも難しくなるかもしれません。少しでも過ごしやすくするためには、事前の確認と準備が大切です。
この記事では、災害時に供給が止まると困るライフラインのうち、ガスにスポットを当てて、重要性と防災対策について解説します。我が家の防災を見直したいと思っている方はぜひ参考にしてください。
災害時にガスが止まるのはどんなとき?
災害時にガスが止まる原因は、主に次の3つです。
・震度5以上の地震が発生したとき
震度5以上の揺れを感じると、マイコンメーターに付いている安全装置が作動して自動的にガスを遮断するからです。大きな揺れを感じた際にガスを遮断する安全装置は、都市ガス、プロパンガスいずれのガスメーターにも取り付けられています。
・ガス漏れが疑われるとき
ガスの供給経路でガス漏れが疑われるときです。都市ガスの場合、地中に埋められているガス管を通じて各家庭にガスが供給されています。強い揺れによって、地中のガス管に歪みが生じた可能性がある場合、ガスが漏れていないことの確認が必要です。確認を要する範囲が広いときは、長期にわたってガスがストップすることがあります。その点、プロパンガスは各家庭に設置されているため、確認箇所が少なく、復旧に時間がかかりません。
・ガス代を滞納したとき
長期間の避難所生活を余儀なくされ、ガス代の支払いができなかった場合などもガスが止まる可能性はあります。
ガスが止まって困ることは?
普段ガスを利用している家庭で、ガスが止まって困るのは次の3つでしょう。
・調理ができなくなる
ガスコンロを使っている家庭では、コンロを使えなくなります。また、ガス炊飯器でお米を炊いている家庭はご飯を炊くこともできません。
・お湯を使えなくなる
ガス給湯器、ガス風呂釜、バランス釜等でお風呂を沸かしている家庭は、ガスが使えないので、お風呂を沸かせなくなります。もちろん、シャワーも使えません。お風呂だけでなく、キッチンや洗面所でもお湯を使えなくなります。
・ガス暖房ができなくなる。
ガスストーブ、ガスファンヒーターなど、ガスを使った暖房ができなくなります。ガスで沸かしたお湯を利用する、温水ヒーターや床暖房なども使用できません。
ガス機器の使用中に地震が起きたらどうすればいい?
まずは、机の下に入るなど身を守る行動をしましょう。ガスは、マイコンメーターの安全装置が作動して自動的に遮断されます。慌てて火を消しに行くのは危険です。落ち着いて、自分の身を守りましょう。火を消しに行くのは、揺れが止まってからでかまいません。
揺れが収まったら、使用していたガス機器のスイッチを切り、屋内の器具栓を閉めてください。避難するときは、屋外のガスの元栓、ガスメーターバルブ、プロパンガス容器のバルブなども閉じておきましょう。
台風や浸水でガス機器が水に浸かったら?
台風や浸水によってガス機器の内部に水が入ってしまった場合、そのまま使用すると、一酸化炭素中毒が発生する恐れがあり危険です。使用せず、ガス会社に連絡をして、点検や修理をしてもらいましょう。
もし、使用して、目の前がチカチカしたり、気分が悪くなったりしたときは、ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒が疑われます。すぐに使用を中止して、修理の依頼をしましょう。
ガスを再び使う前に確認することは?
安全装置が働いてガスがストップしたときは、再び使い始める前に次のことを確認してください。(揺れたときにガス機器を使用していなかった場合は、ガスが遮断されていません。すぐに点火できる状態ですが、ガス機器や配管に不具合がある可能性があるため、使用する前に以下の点を確認してください。
- ガス機器の周辺がガス臭くないか。
- ガス機器本体に変形や歪み、破損などが見られないか。
- ガス機器との接続部分が正しく接続されているか。
- 屋外の給排気設備に穴が開いたり、管が外れたりしていないか。
- 給排気口が倒木やがれきなどで塞がれていないか。
これらを確認して、問題がなければガスメーターを復帰させてもよいでしょう。しかし、問題が見つかった場合は、点検・修理が必要です。安全が確認できるまで、ガス機器の使用は控えましょう。
ガスメーターを復帰させる方法
安全装置が働いてガスがストップしたら、再度使用するためには、ガスメーターを復帰させなければなりません。復帰の手順は次の通りです。
1. 使用中のガス機器すべてのスイッチを切る。
2. ガスメーターの復帰ボタン(ガスメーターの左側にある黒いボタン)にキャップが付いている場合はキャップを外す。
3. 復帰ボタンを押すと、液晶にガス止めの文字が出ている場合は文字が消える。
4. 3分ほど待って、赤いランプの点滅が点灯に変わったらガスを使用できる。
ガス機器の仕様によっては、手順が多少異なることがあります。手順がわからないときは、ガス会社に問い合わせてみてください。
もし、ガス機器を点火したときに、いつもと燃え方が違った場合は要注意です。いつもよりも炎が大きい、音が大きい、点火に時間がかかるなど、何か違うと感じたら、ガス会社に連絡して点検を依頼しましょう。
また、一部のガス機器だけが使えないという場合は、ガス機器本体や、その接続部分に問題があるのかもしれません。この場合も、点検や修理が必要です。
家庭でできるガス設備の地震対策
家庭用の設備においては次のような地震対策がおすすめです。
- 古いガスメーターをマイコンメーターに取り替える。
- ガス警報器を設置する。
- 連動可能であれば、マイコンメーターとガス警報器を連動させる。
- ガス小型湯沸かし器に不完全燃焼防止装置が付いていない場合は付いているものに替える。
- 温度センサーや立消え安全装置が付いていないガスコンロは付いているものに替える。
- キッチンのガス栓を、ゴム管が外れると自動的にガスがストップするヒューズガス栓に替える。
- 暖房用のガス栓をガスコンセントに替える。
- ガス暖房器具を転倒時ガス遮断装置付きのガスファンヒーターに替える。
- ガスファンヒーターにはワイヤー入りの丈夫なガスコードを使用する。
ガス漏れ検知器の選び方と設置のポイント
ガス警報器は、ガスを安全に利用するために欠かせない器具です。都市ガス用とプロパンガス用があるので、家庭で使っているガスの種類に合ったものを選びましょう。火災警報器やCO警報器の機能を組み合わせたものもあります。
ガス警報器を選ぶときは、「KHKマーク」や「JIAマーク」が付いているか確認しましょう。KHKマークは、消防法の定める基準に適合していて、なおかつ危険物保安技術協会の認可を受けているという証です。一方、JIAマークは、日本ガス機器検査協会の検査基準に適合しているという証になります。
ガス警報器設置のポイントは、ガスの種類に合ったものを正しい位置に取り付けることです。ガスの種類によって比重が違うため、専用のガス警報器を選ぶことはもちろん、センサーの取り付け位置がとても重要なポイントになります。自分で設置せず、ガス会社に取り付けを依頼するようにしましょう。
また、ガス警報器には5年という交換期限があります。警報器に貼ってある交換期限表示ラベルを確認しておきましょう。交換期限が近づいてきたらガス会社に連絡して、交換を依頼する必要があります。交換期限を忘れることが心配なら、警報器を買取りではなく、リースにするというのも1つの方法です。
できるところから防災対策しよう
地震等でガスの供給が止まったら、復旧に時間がかかると思いがちです。しかし、プロパンガスはそれぞれの家庭に個別供給しているため、すぐにガス漏れや器具の調査・点検ができ、電気よりも早く復旧できます。災害直後からガスを使えるように、できるところから防災対策をしておきましょう。
何から始めればよいかわからないというのであれば、最寄りのガス会社に一度相談してみてください。富士市及び富士宮市にお住まいの方は富士酸素工業株式会社がお手伝いいたします。