オフィスでの避難生活:家庭用寝袋や毛布の備蓄

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「災害のための備え」というと家庭での食料備蓄や非常持ち出し袋の準備を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、災害はいつ発生するかわかりません。仕事中に災害が発生することも想定しておく必要があります。もし、オフィスで避難生活を送るとなれば、寝泊まりするための寝袋や毛布も必要です。この記事では、オフィスで避難生活を送る際に必要となるアイテムの備蓄について解説します。

1.      なぜオフィスでの避難生活の準備が必要か

大規模な地震や台風などの発生時には、交通網が寸断され、オフィスでの待機が必要になる可能性があります。特に大規模地震の場合、発生から3日間は不要な移動を避けるために、一斉帰宅が抑制されるかもしれません。そうなれば、そのままオフィスに留まり続けることも考えられます。

また、規模の大きな災害が発生したときは、帰宅が可能であっても、災害後の事業立て直しのために、オフィスに残って作業しなければならないかもしれません。その場合も、オフィスに寝泊まりすることになります。

オフィスで避難生活を送るとなれば、必要なのは食料や飲料水だけではないでしょう。寝泊まりするための寝袋や毛布の備蓄も必要です。これらの備蓄は、普段の勤務時間内だけを想像して備蓄品を選ぶと見落としてしまいます。

2.      家庭用寝袋と毛布の選び方

寝袋や毛布を備蓄したいけれど、どのようなものを選んだらよいかわからないという声はよく聞かれます。オフィスに備蓄する寝袋と毛布の選び方は以下の通りです。

2-1.家庭用寝袋の選び方

備蓄用には、家庭用寝袋を選びましょう。家庭用寝袋とは、主に室内で使用することを目的としたもので、キャンプや登山などで使用するものとは形状や素材が違います。真冬に使用するのであれば、身体をすっぽりと覆うマミー型の寝袋が適していますが、オフィスで使用するなら季節を問わず使いやすい封筒型の寝袋がよいでしょう。寒い冬場は、下にアルミシートを引き、上には毛布を重ねることで対処できます。掛け布団と敷布団に分離できるタイプがおすすめです。

中綿の素材は羽毛と化学繊維があります。オフィスの備蓄用として扱いやすいのは、化学繊維のものです。購入価格が羽毛に比べて安いだけでなく、汚れたときには洗濯機で洗えます。また、温度や湿度の変化にも強いため、長期保存によってカビが発生するリスクも羽毛より低いでしょう。

2-2.毛布の選び方

オフィスの備蓄用には、アルミブランケットよりも不織布毛布がおすすめです。アルミブランケットには、断熱性と保温性が高く、軽量という特徴があります。コンパクトに折りたたむことができるので収納にも便利ですが、通気性がよくありません。寒い季節にアルミブランケットで身体を包んで眠ると、外気温と体温の差で結露が発生し、余計に寒くなってしまう可能性があります。

オフィス内での寝泊まりに使用するのであれば、1枚ずつ個包装されている備蓄用不織布毛布を選ぶのがおすすめです。ただし、帰宅支援用に備蓄するなら、防水性、防風性が高く、断熱性、保温性にも優れているため、アルミブランケットを選びます。暴風雨や雪の中での屋外作業が必要な場合には、カッパの代用にもなりますし、寒い冬場は寝袋の下に敷いて使用してもよいでしょう。予算に余裕があれば、両方備蓄しておくのがベストです。

3.      保管場所の確保と管理方法

寝袋や毛布は、従業員が災害時にすぐ取り出せる場所に保管しておく必要があります。1カ所にすべての備蓄品を集めて保管しようとすると広いスペースが必要です。しかし、そのような場所はごく限られているうえに、備蓄品の保管場所にしてしまうと、普段の業務には使用できません。しかも、1カ所にすべての備蓄品を詰め込んでしまうと、奥に入ったものは必然的に出しづらくなります。万が一に備えるのであれば、各従業員のデスクや休憩室、会議室、倉庫などに分散して保管するのが理想的です。

たとえば、寝泊まり用の寝袋や不織布毛布は休憩室、会議室、倉庫に分散して保管し、それぞれの場所の備蓄品を管理する責任者もわけておくとよいでしょう。帰宅困難者の支援にも使えるアルミブランケットは各従業員がデスクに保管し、個人で管理するようにすると、備蓄品管理者の負担も減らせます。

4.      衛生面での注意点と対策

寝袋も毛布もカビの発生に注意する必要があります。湿気がこもりやすい場所に長期間放置すると、カビが発生したり悪臭がしたりして、いざというときに使用できません。湿度が高い梅雨時や夏場はもちろん、比較的乾燥する冬場でも、寒暖差があると結露の影響でカビが発生します。できるだけ乾燥した場所に保管し、定期的に空気の入れ替えをするようにしましょう。

5.      避難生活を想定した使用訓練の実施

せっかく寝袋や毛布を備蓄していても、防災時に使い方がわからないのでは意味がありません。避難生活を想定して、使用訓練を実施するようにしましょう。実際に使用してみることによって、問題点も浮き彫りになります。たとえば、寝袋を広げるのにどれだけのスペースが必要になるかは、実際に使ってみなければわかりません。実際に床の上に広げて使用してみることで、快適に寝られるかどうかもわかるでしょう。

使用訓練は、オフィス備蓄に必要な数を購入する前にも実施しておくのがおすすめです。一度使用してみることで、問題点があれば浮き彫りになるでしょう。もし、使用訓練を実施しないまま大量に備蓄した場合、その後の使用訓練で問題点に気づいても、コストがかかるため改善できない可能性があります。災害時に本当に役立つ備蓄をするためには、事前に使用して、使い心地を確かめることも必要です。

6.      まとめ:快適な避難生活が事業継続の鍵

オフィスで避難生活を送らなければならない状況であれば、おそらく事業の継続にも大きな影響が出ていることでしょう。従業員がオフィスに留まり、人海戦術で事業の立て直しを図るような状況下では、避難生活を快適に送れているかどうかが、従業員の士気に影響するはずです。快適な避難生活が事業継続の鍵になることを理解したうえで、備蓄品の選定をしましょう。