救急キットの中身:家庭用品でオフィス向けにカスタマイズ
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大規模な災害が起きたら、発生直後はオフィスに留まらなければならない可能性があります。避難時にも打撲や切り傷、やけどなどを負うかもしれません。その際、オフィスに救急キットがあれば応急処置ができ安心です。そこで、基本的な救急キットの中身と家庭用品でオフィス向けにカスタマイズする方法について解説します。

1. 基本的な救急キットの内容
オフィスに備えておく救急キットの中身として、最低限入れておきたいものには以下のようなものがあります。
- 消毒液:エタノール濃度70~80%のもの。
- 絆創膏:複数サイズを用意しておく。
- 脱脂綿:あらかじめカットされたものが便利。
- 綿ガーゼ:滅菌タイプのもの。
- 包帯:常備するなら伸縮タイプ。ネット包帯もおすすめ。
- 常備薬:軟膏や解熱剤、総合感冒薬、胃腸薬、目薬などを用意しておく。
- サージカルテープ:包帯やガーゼの固定に使用。
また、応急処置に必要なアイテムとして下記も入れておきましょう。
- ピンセット:細かい作業に必要。感染症対策の面でも用意しておきたい。
- ハサミ:救急キットに常備するなら医療用のハサミがベスト。
- 綿棒:小さな傷口に消毒液や軟膏を塗布するときに使用。感染症を防げる。
- 使い捨て手袋:応急処置の際に使用。感染症対策になる。
- 体温計:短時間で測れる電子体温計がおすすめ。感染症対策重視なら赤外線体温計。

2. オフィス特有のリスクと必要な追加アイテム
災害時や災害直後のオフィスでは、次のようなリスクが高まります。
<転倒・転落>
もともと、オフィスには床の段差につまずいたり、床で滑ったりして転倒するリスクがあります。災害後であれば、物が散乱して、更につまずきやすくなるでしょう。また、備蓄品を取りに行く場合など、高い場所にあるものを取ろうとしてバランスを崩す危険もあります。特にオフィスに多い回転いすの上に乗れば転倒のリスクは高まります。
<家具や設備の落下>
大地震の発生時は、オフィス家具やコピー機などの設備が倒れたり落下したりしやすく、近くで作業していた場合には巻き込まれる可能性があります。また、火災や台風などの場合は、窓ガラスが破損し飛散することもあるでしょう。
<火災・やけど>
オフィスには、パソコンを初め、コピー機、シュレッダーなどの数多くの電気機器があります。破損やショートによって火災が発生するリスクも想定しておかなければなりません。また、火災は発生しなくても、ポットのお湯や熱い飲み物がこぼれれば、やけどをする可能性もあります。
これらのリスクを想定すれば、災害時にオフィスではどのようなケガを負う可能性が高いか、自ずとわかるはずです。転倒や転落、物の落下などに巻き込まれた場合には、捻挫や打撲を負うことが想定されます。患部を冷やす冷却剤を準備しましょう。袋の外から叩くだけですぐに冷える瞬間冷却剤がおすすめです。瞬間冷却剤は、やけどの応急処置にも使えます。
3. 家庭用品で代用できる救急用品
家庭用品で応急処置に使用できるものは少なくありません。たとえば、大きめのレジ袋は、両端を切り落とし、持ち手を結んで首にかければ三角巾として使えます。結び目が首に直接あたると痛いので、タオルやハンカチを挟むようにするとよいでしょう。骨折時に添え木が必要な場合には、新聞紙を板状に折りたたんで使いましょう。止血後、患部をガーゼで押さえておきたいときには、ラップが便利です。通気性の問題で長時間巻き続けるのはおすすめできませんが、包帯をうまく巻けない人でも、ラップなら簡単に巻けます。

4. キットの配置場所と使用方法の周知
せっかく救急キットを準備していても、必要なときに取り出せないのでは意味がありません。また、災害時には、複数の箇所で同時に救急キットが必要になることも想定しておく必要があります。そのためにも、オフィスの規模に合わせて、複数の救急キットを複数個所に配置しておくことが大事です。
具体的な配置場所としては、各フロアの休憩室や各部署の棚の中など、誰でもすぐに取り出して使えるところがよいでしょう。ただし、置き場所は指定しておく必要があります。使うたびに場所が移動してしまうと、緊急で使いたいときにどこにあるかわからなくなってしまうからです。救急キットの設置場所を周知するために、マップやサインを作り、従業員の目に留まるように掲示しましょう。社内メールや社内報で情報を共有できるようにするのもおすすめです。
使用方法についても全従業員に周知しなければなりません。救急キットの使用方法だけでなく、使用上の注意事項や医療機関への搬送の仕方などもマニュアルにまとめておきましょう。マニュアルは紙に印刷するだけでなく、スマートフォンなどからでも確認できるようにしておくと便利です。
防災訓練などを利用して、実際に救急キットを使う機会を設けてみてもよいでしょう。一見すると便利そうなのに、緊急時にはほとんどの人がうまく使えないものもあります。そのような機会を設ければ、緊急時には誰がどのような役割をするかも決めやすく、周知もしやすくなるでしょう。

5. 定期的な内容確認と更新の重要性
救急キットの中身は、定期的に確認しましょう。救急キットは、災害時以外にも使用する可能性が高いからです。特に、消毒液や絆創膏は使う頻度が高いため、災害時に開けてみたら中身がほとんど入っていなかったということにもなりかねません。あらかじめ内容確認のタイミングと各アイテムの最低ラインを決めておき、確認時に不足分を補充するようにすると安心です。常備薬には使用期限が記載されているので、使用期限が近いものは新しいものに入れ替えましょう。劣化している場合は、使用期限内でも入れ替えが必要です。
6. まとめ:小さな備えが大きな安心に
オフィスの決まった場所に救急キットがあれば、従業員にとって大きな安心につながるでしょう。ただし、救急キットはただ備えられているだけでは意味を成しません。いざというとき、誰もが慌てず正しく使用できるように、設置場所や使い方を周知することが大切です。