防災用品にも必要な衣替え!夏と冬で異なる備蓄品の中身とは?

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防災用品を備蓄しているだけで満足していませんか?いざというときに使えなければ意味がありません。「定期的に点検している」と答える方も、食料の賞味期限や、ラジオの動作点検をするだけで、季節に応じた衣替えはできていないのではないでしょうか。そこで、この記事では、季節に合った備蓄内容にするための衣替えについて解説します。

1.防災用品に衣替えが必要な理由

防災用品として備蓄しているものは、通年使用するものだけではありません。特定の季節にはなくてはならないものでありながら、それ以外の季節は場所を取るだけで邪魔になるものがあります。具体的なものを挙げるなら、カイロや冷却剤などです。

季節ごとの需要を考えずに、通年カバーできるように備蓄すると、大きなスペースが必要になります。保管スペースが限られている場合は、優先順位を付けて管理しなければなりません。特に、非常持ち出し袋には、優先度の高いアイテムから順に入れることになるでしょう。つまり、特定の季節にだけ優先度が高くなるアイテムは、入れ替えの必要があるということです。

もちろん、今シーズンはもう使わないけれど、来シーズンになったらまた必要になるというものもあります。保管スペースに余裕があるから、そのまま置いておいてもいいだろうと考えるかもしれません。しかし、災害備蓄の場合、優先度の高いものは手前の取り出しやすいところに置く必要があります。そのため、来シーズンのために取っておくものを奥に移し替え、これからのシーズンに必要なものを手前に持ってくるという作業をしなければなりません。このような保管スペース内での置き場所の入れ替えも、防災用品の衣替えに当たります。

2.冬仕様から夏仕様への衣替え

防災用品の衣替えは、最低でも年2回は実施しなければなりません。冬仕様から夏仕様に替えるときと、夏仕様から冬仕様に替えるときの2回です。夏仕様への衣替えは、本格的に暑くなる前に済ませておきましょう。夏場の防災用品で押さえるべきポイントは暑さ対策と衛生対策です。夏場にあると重宝するアイテムには以下のようなものがあります。

・瞬間冷却剤

袋の上から叩くだけで瞬間的に冷える冷却剤です。日頃から冷凍庫に入れておく必要がなく、必要な時だけ冷やして使えます。

・うちわ・扇子

風を起こして急激な体温上昇を防ぐことができます。特に扇子はコンパクトに折りたためるため、スペースを取りません。電気や電池を必要としないため、停電時でも重宝します。

・塩飴・塩タブレット

大量の汗をかいたときには、いくら水を飲んでも脱水症状を引き起こすことがあります。失われたミネラルを補給するために、塩飴や塩タブレットを用意しておきましょう。タブレットタイプの方が、高温になっても溶けにくいので、オフィスでの備蓄に向いています。

・小型扇風機・クールネックリング

従業員が個別に管理する非常持ち出し袋には、小型扇風機やクールネックリングなどを入れておくとよいでしょう。

・体拭きシート

汗をかきやすい季節に、お風呂やシャワーに入れない時間が長引き不衛生な状態が続くと、本人が不快なだけでなく、あせもができたり、感染症を起こしやすくなったりします。冬場よりも使用量が多くなることを見越して余分に備蓄しておいた方がよいでしょう。

・ドライシャンプー

ドライシャンプーは通年使用できるものですが、夏場の方が汗をかきやすいため、使用頻度が増える可能性が高まります。備蓄量を多めにするとよいでしょう。

・防臭袋

夏場は生ゴミや汚れた衣服を放置すると細菌が繁殖しやすくなります。臭いの問題も発生しやすくなるので、防臭効果の高い袋を準備しておく必要があるでしょう。

・下着や着替えの衣服

従業員が個人で管理する非常持ち出し袋には、下着類や着替えの衣服なども入れているはずです。冬仕様から夏仕様に入れ替えましょう。

・その他

災害時に屋外で作業する可能性があるなら、帽子や日焼け止め虫よけスプレーなどもあった方がよいかもしれません。これらは、使用する従業員個人に管理してもらうとよいでしょう。

3.夏仕様から冬仕様への衣替え

冬場の防災で押さえるべきポイントは寒さ対策ですから、夏場とは真逆です。夏仕様の防災用品の中にあったものの中には冬もあれば便利なものはありますが、使用頻度を減らせる、備蓄量も抑えられます。夏場しか使用しないものは冬場だけ使用するものと入れ替えましょう。冬場にあると重宝するアイテムには以下のようなものがあります。

・エマージェンシーシート・アルミブランケット

いずれもアルミ製の薄手のシートです。コンパクトに折りたたむことができ、幅広い用途に使えます。からだに巻き付ければ防寒着の代わりになり、寝袋の下に引けば、床からの底冷えをある程度防ぐことも可能です。防水性にも優れているため、雨ガッパの代わりに使うこともできます。製品によっては耐久性が低い場合もあるため、多めに準備しておいた方がよいでしょう。

・使い捨てカイロ

使い捨てカイロは、急激な体温低下を防ぐのに役立ちます。使い捨てカイロがあれば、暖房がない状態でも過ごせるので、多めに備蓄しておきましょう。使用時間が長く残っている状態でカイロを捨てるのはもったいないです。ジッパー付の保存袋に入れしっかり密閉すれば、後でまた使うことができます。暖房が止まることを見越して、足先用のカイロも準備しておきましょう。

・マスク

風邪対策としてだけでなく、寒さ対策としてもマスクは役立ちます。不織布の通常タイプのもので構わないので、多めに量を確保しておきましょう。

・下着や着替えの衣服

従業員が個人で管理する非常持ち出し袋には、下着類や着替えの衣服なども入れているでしょう。その場合は夏仕様から冬仕様に入れ替える必要があります。首や足元を温めると快適に過ごせるので、ネックウォーマーやレッグウオーマー、ストッキングの上に重ね履きする靴下なども入れておくようにしましょう。

・湯たんぽ

小さめの湯たんぽは、カイロの代わりにもなります。オフィスには電気ポットがあることも多いため、直前までポットにお湯が入っていれば、その湯を利用すればよいでしょう。

・ステンレスボトル

冬場は、冷たいペットボトルの水を配っても、身体が冷えることを理由に水分補給を控えてしまいがちです。脱水を防ぐためには、ペットボトルの水を使い捨てカイロで少し温め、ステンレスボトルに移しておくとよいでしょう。身体を冷やさず水分補給がしやすくなります。

・チョコレート

イライラが募りやすい災害時には、甘いものがあると心が落ち着きます。甘いものを口にすると、脳内に幸福感をもたらす神経伝達物質が分泌されるからです。夏場の塩飴や塩タブレットはチョコレートに入れ替えるとよいでしょう。冬であればチョコレートが溶ける心配はありません。カロリーが高い食べ物は、身体を内側から温める働きもするので一石二鳥です。

・その他

乾燥しやすい季節なので、リップクリームや保湿剤があると重宝します。

4.まとめ:場所やメンバー構成に合う備えをすることが重要

今回は、季節に応じて防災用品の中身を見直すことを「衣替え」と称して解説しました。夏場、冬場それぞれにあると便利なアイテムをピックアップしましたが、密閉度の高い事務所と空間の広い工場とでは備えるべきものは当然違います。保管するスペースによっても優先順位が変わるでしょう。男性が多い職場と女性が多い職場とでも備蓄内容は変わってくるはずです。衣替えの中身は、季節だけでなく、職場のメンバー構成や建物の材質なども考慮して決めるようにしましょう。