災害時の連絡手段:家庭用通信機器の会社での活用

災害はいつ起こるかわかりません。就業中に被災した場合、真っ先に考えるのは、家族や関係各所に連絡を取るということではないでしょうか。しかし、会社での防災対策というと、避難に必要なアイテムや食料、飲料水などの備蓄に偏りがちです。そのため、実際に災害に遭うと、普段の通信手段が使えなくて連絡できないという事態が起こります。そこで、今回は災害時の連絡手段として会社でも活用できる、家庭用通信機器について解説します。

1.      災害時の通信手段確保の重要性

災害時には、迅速な安否確認が必要です。就業中の被災と言っても、全員がオフィスにいるとは限りません。適切な救助活動や支援をするために、誰がどこでどのような状態でいるかを確認する必要があります。また、離れた場所で被災している可能性のある家族と連絡を取れるようにすることは、被災した社員自身だけでなく、家族の安心にもつながります。

また、正確な情報を収集し、共有するためにも通信手段の確保が重要です。被害状況を把握するのはもちろん、避難指示や支援物資の状況など、収集すべき情報はたくさんあります。必要な情報を収集し、各自に伝えることができれば、適切に役割分担や人員配置ができ、スムーズに復旧に向けた作業を進められるでしょう。

さらに、ケガ人が出た場合には救急の要請も必要ですし、インフラが止まっている場合には復旧の協力要請もしなければなりません。外部に支援を要請するためには、やはり通信手段が不可欠です。

2.      災害時でも利用できる家庭用通信機器は?

オフィスでも利用できる家庭用通信機器にはパソコンやスマートフォン、Wi-Fiルーターなどがあります。インターネットが使える状態であれば、SNSやチャットアプリなど普段から使い慣れている通信手段で連絡も情報収集も可能です。

しかし、災害時には通常通り使えるとは限りません。多くの人が被災すれば、アクセスが集中して通常のやり方ではインターネットにつながらなくなる可能性が高いからです。いざというときのために、災害時公衆無線LANサービス「00000JAPAN」について理解し、社内で周知しておくようにしましょう。

「00000JAPAN」(ファイブゼロジャパン)は、一部ユーザー向けのWi-Fiスポットを、緊急時にはキャリアの垣根を越えて無料開放するという取り組みです。特定の携帯キャリアとの契約がなければ利用できないWi-Fiスポットでも、必要に応じて「00000JAPAN」という統一ネットワーク名のWi-Fiとして開放され、誰でも利用できるようになります。

端末のWi-Fi画面からネットワーク一覧を表示し、「00000JAPAN」を選んで接続するだけです。パスワード入力やメールアドレスの登録はいりません。このことを知っておけば、「災害時にインターネットがつながらない」と慌てなくても済むでしょう。

他にも、単独で災害時に使える連絡手段を別途準備しておくと安心です。災害時でも安心して使える通信手段には、衛星電話、IP無線、トランシーバーなどがあります。情報収集では災害用アプリや防災ポータルの利用もおすすめです。あらかじめインストールしておきましょう。

対策のポイントは3つです。1つめはあらかじめ複数手段を確保しておき、状況に応じて組み合わせられるようにしておくこと。どれか使えないものがあっても、他に手段があれば安心です。2つめは通信に使える電源を確保しておくこと。ソーラーや乾電池、手回しなども含め、充電手段の確保は必須です。3つ目は誰がどのように連絡を取るか、役割を決め、連絡網を作っておくこと。いざというとき、誰かが連絡してくれているだろう…では困ります。

3.      オフィスでの効果的な配置

災害時を想定してオフィスに通信機器を配置する場合は、取り出しやすく耐震性のある場所に保管することが重要です。例えば、トランシーバーのような近距離連絡用の機器は、各部屋に置いておくとよいでしょう。閉じ込められた時でも部屋の外と連絡を取ることができます。

衛星電話やIP無線なども各部署に設置できればそれに越したことはありません。しかし予算的に難しいというのであれば、2~3カ所に分けて設置するようにします。外部との連絡に使用できる通信機器を1カ所にまとめて保管してしまうと、倒壊や崩落などで取り出せなくなったときに困ります。オフィスが複数に分かれているなら各階に、部署によって部屋が分かれているなら各部署に置くというような工夫が必要です。

4.      バッテリー管理と定期的なテスト

家庭用であれ、オフィス用であれ、通信機器の多くは電源を必要とします。スマートフォン用のモバイルバッテリーは、社員それぞれが自分の分を管理するのがおすすめです。高温多湿の場所は避け、充電60~80%の状態を維持し、少なくとも1カ月に一度は正常に使えるかチェックするように指導しましょう。

それ以外に、ポータブル電源など災害用バッテリーも用意する必要があります。こちらは、会社が保管、管理する形にしましょう。保管場所は直射日光が当たらない高温多湿を避けられる場所を選びます。屋内であれば、極端に寒い場所、暑い場所でなければ大丈夫です。湿気が籠らないように箱から出して保管しましょう。こちらも、バッテリー残量は60〜80%に保つようにします。バッテリー残量の確認、継ぎ足しも兼ねて、1カ月に一度を目安に動作確認をしましょう。

5.      従業員への使用方法の周知と訓練

衛星電話やIP電話など、普段使う機会のない通信機器については、あらかじめ使い方を周知しておくことも忘れてはいけません。定期的に点検を行うとともに、誰もが使えるようにレクチャーしておきましょう。

また、緊急連絡のフローを社内で共有しておくことも必要です。緊急連絡については、マニュアルを整備するだけで満足してしまうことが少なくありません。誰がどこに連絡をすればよいかわからない状態で被災すると、緊急連絡のフローがまったく機能せず混乱してしまいます。事前に連絡のルールや役割を決め、情報を共有したうえで、定期的に訓練することも大切です。

6.      まとめ:確実な連絡手段が安心を生む

災害時は連絡を取りたい人、情報を得たい人が一斉にアクセスするため、普段使っている通信手段がまったく機能しなくなるかもしれません。複数の通信手段を確保し、慌てずに使用できるように普段から準備しておくことが大切です。